サハラ縦断・スーツケースの1人旅編

トリポリの空港の、薄汚れた狭いターンテーブル前。あちらの空港は大概そうだがここも例外ではなく、1個、また1個と、荷物はのんびり出て来る。やっとみんなのは揃ったが、私のだけは、なかなか出て来ない。ピンクの中型のスーツケース。じりじりと待つ事しばし。

が、ターンテーブルの上が一旦途絶えたと思いきや、他の便からの荷物が回り始めたのである。コンダクターの顔色がさっと変わった。彼女は慌しく係員室を駆け回ったが、あっちの事務室だこっちの係りだと、らちが明かない。既に現地ガイドや付き添いの警察官も迎えに来ていて、真剣な顔でひそひそ話し合っている。

乗って来た飛行機