山ん中、無言の教えシリーズ第3話 【道を尋ねるなかれ】

中高年登山の兆しが見え始めたころは、
まだまだ、道を訪ねる者は、ごく少なかった。
最近、どうだろうか、
『 後どれぐらいですか 』
であれば、
まだ、許せる挨拶代わりで、あろう。

『 ここ、行けば、行けますか 』
会話としては分からぬでもないが、
コトバになっていない。ドコに行くとも、言わない。
この人、相当そろそろ、お疲れだわ、と、内心思う。

『 この先、私ら、でも、行けますか 』

 慌てて、靴を見てしまう。
汚れ具合、すり減りの度合いで、歩きの頻度を、見極める。
 服装は、お金を掛けた登山装束でも、
何やら、ガヤガヤと、歩いていたのでは、