7年前の手術の後、彼女の病室を訪ねた時、
「いっぱい、お父さん(夫君)にお世話になっちゃったから、早く元気になって、お返ししたい・・」と話していた。
病に勝ってからは、家族みんなにお返しを、これでもかというくらい、いっぱい、いっぱいしていた。家族だけでなく、取り巻く人たち全てに、お返ししていた。私もお相伴にあずかる。
彼女の手土産はいつも、お得意の山菜おこわと煮物。
絶品の味で、私はそれを内心、楽しみにしていた。
「足りないのが嫌なの。だから、いっぱいね」
それに、おこわの入っていた朱色のお重は返さなくてもいいという。
「まだ家に沢山あるか