連載:お題の日記2024

   入院とカメラ雑誌

 幼いころから、風邪で熱をだすたびに通った診療所があった。昔は東京でも、医者が少なく、そこまで子どもの足で歩いて十五分くらいかかった。まわりには畑や山林がひろがっている。診療所は、だんだん患者がふえて、入院病棟をもつほどに大きくなる。
 中学一年のとき、お腹をこわし、発熱とひどい下痢で、そこに一週間くらい入院する。父は、病床で読めるようにと写真の月刊誌「カメラ毎日」を買ってきてくれた。私が少し写真に興味をもち始めていたのを知っていたのだ。
 病室にはテレビもラジオもない。だからこの写真誌だけが退屈をまぎらわせてくれた。一流のプロ写真家が撮った写真、月例ア