受戒会修行に参加して(仏教は「死」をどう考えるか 4)

仏教は哲学であり、それには死についての考察が含まれる。
言うまでもなく仏教は宗教であり、科学とは相容れない領域をもつ。如来、菩薩と言われる存在は人間には及ぶはずもない能力を持つとされ、そうした側面は信仰の領域に属するが、私は、悉有仏性という言葉に従って、「仏」なるものは人間が生来有する仏性を理想化したものと受け止めている。
しかし、また、仏教は哲学でもある。他の宗教は超越者への絶対的帰依を条件とし、他宗教、他なる思想を排撃するが、仏教は自然現象に止まらず、思想の違いまでも事実として受容する。たとえば、仏教は色即是空という。実体、永遠に存続するものなど無い