松山城の雄猫

 松山城の大手門跡でキジ猫を見かけた。ジイサンが舌を鳴らして呼ぶと、ニャーと小さく返事をした。

 この猫は売店の裏庭で母親のお乳を飲んでいた子猫で、乳離れした後、ジイサンのキャットフードを食べるようになっていた。少し大きくなったころ突然姿を見せなくなっていた。どこへ行ったのだろう、とジイサンは気がかりだった。
 
 松山城ができたときには門があり揚木戸門跡(あげきどもんあと)と言われていたが、今は観光客などでにぎわっている。その広い道を悠然とキジ猫が歩いている。たくましく育ったようだ。

 キジ猫はもう返事をしたから、といった様子でさっさとどこかへ行っ