連載:生と死

中学校入学時の同級生の友人の訃報(1989)

 昨日朝のことである。電話が鳴った。固定電話の方だ。受話器を取ると、よくは判りにくい声。wakohは補聴器を付けていなかった。だが失礼にあたることを恐れて、その番号に折り返し掛け直した。
 それでもなお、よくは聴き取れなかった。だが、「主人が亡くなりました」の声は、奥様に違いない。ようやく、中学校入学時の同級生、B.T.君らしい。もちろん、お悔やみ申し上げたのは当然だ。

 中学校とは、都立第五中学校(五中)のことだ。入学したのは、昭和19年(1944年)だ。
 その前年、つまり昭和18年、東京は都制が布かれるようになった。それに伴って、府立中、市立中は