さんが書いた連載薩摩よみうり俳句の日記一覧

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薩摩よみうり俳句11月14日(火)

大川畑光詳 選 特選 一笛(いってき)に大蛇(おろち)のたうつ神楽かな                        霧島 秋野一歩 *あなたは神楽を観たことがありますか?  作者は霧島在住の方で神楽に親しんでいる方と思います。  霧島は神話の里。  

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薩摩よみうり俳壇 6月13日(火)

 俳句  大川畑光詳 選 行くほどに闇が繰り出す蛍かな  霧島 内村 としお 「評」暗い夜である。蛍狩りに出かけて川べりを歩いていると、ちらほらと蛍がとび始めた。期待しつつ進むといよいよ闇も深くなり、蛍火の数も急に増えた。まるで闇が次々と蛍を押し出しているかのようである。「闇が繰り出す」という擬人法によって蛍火が闇の奥からこちらに向かって絶え間なく飛んでくる動きも見えてくる。 銃眼…

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薩摩よみうり文芸 6月6日(火)

 薩摩よみうり文芸 6月6日(火)    俳句 大川畑 光詳 選 まま 儘ならぬ竿の扱ひ梅落とす      霧島 尾上 春風 (評)梅雨に入る頃、梅の若葉が茂ってくると、梅の実が太り始める。黄熟する前の、固く緊った青梅を収穫して梅干しや梅酒などを作る。大きな梅の木は竿で枝を叩いたり、揺らしたりして落とす。竿で叩くたびに梅の実がぱらぱらと音立てて地面に転がる。竿の扱いに苦労しながらも、毎年…

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薩摩よみうり俳句5月30日(火)

5月30日 俳句   俳句 大川畑光詳 選 アマゾンに眠る同胞ホトトギス     霧島  薗 孝湖 (評)ブラジルへの日本人移民は1908年に開始された。コーヒー農園での過酷な労働から始まり、大変な苦労の末、多くが自作農として独立したという。作者の血縁にも、そういう方がアマゾンの地に眠っておられるのだ。「不如帰」は 「帰るに如かず」(帰るのが一番だ)の意味を持つ。故国を遠く離れて眠る…

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薩摩よみうり俳句5月24日(火)

  俳句 大川畑光詳 選 袋掛け噴煙の向きときに見て    鹿児島 上坪 満代 (評)袋掛けは果実を鳥や病虫害から守るために袋紙を掛けること。桜島なら枇杷の袋掛けであり、それは火山灰除けのためでもある。火山灰の吹かない頃を見計らって、身をかがめたり、脚立に上がったりして一つ一つ行う厳しい労働だ。袋掛けが終わると、山裾の枇杷畑は白い花が咲いたように見える。時折、音を立てて火山灰が降って…

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薩摩よみうり俳句5月16日(火)

読売俳壇 5月16日(火曜)   俳句 大川畑光詳 選 柿若葉濡らして子規の従軍記     霧島 秋野 三歩 (評)正岡子規は二十八歳の時、新聞記者として日清戦争に三十三日間従軍。その無理が祟って五月十七日、帰国の船上で大喀血。翌日馬関(下関)に着いた時、「馬関まで帰りて若葉めづらしや」と詠んだ。揚句の明るく濡れた「柿若葉」は、司馬遼太郎が小説「坂の上の雲」で描いたような子規の快活…