単身赴任で宝塚の借上げ社宅に落ち着いたのは、秋雨の降る午後でした。深い森の中にある二戸一住宅の下を渓流が走っています。
洗濯をして部屋に綱を張って干しました。6畳一間に台所・トイレ・風呂がついています。
疲れて早めに床についた私の枕元に、開襟シャツにカー黄色のズボンをはいた青年が立っていました。
「部屋に洗濯ものを干したらダメじゃないですか」
男はそういって姿を消しました。夢かうつつか分かりません。その夜から毎夜怪奇な現象に悩まされだしたのです。
意味不明の言葉を連呼して住居の廻りを走り回る。深夜にノックされて出てみると誰もいない。
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