こどものころのオバケ2

以前の話の続きです。

電球がオバケに見えて暫くしてのことです。

もう50年も前のある夜、まだ保育園児の私は眠れず、布団の中にいます。
2軒長屋の一室、父と母が一緒に並んで布団に寝ています。
肉体労働で大酒飲みの父のいびきがうるさく響いています。

その時、苦しそうなうなり声が聞こえ始めました。
男のものも女のものともわからない声です。
「うーっ。うーっ」と唸っています。
私は目を閉じ無視を決め込みました。
思い込みでも勘違いでもいいから早く終わって欲しい。
その思いからでした。

しかし、声は段々大きくなってきます。
父のいびきがかき消されそうです。