〝島原学著『日本写真史』(上・下)〟

 上巻は「幕末維新から高度成長期まで」。

 19世紀半ば、日本へ輸入された写真。日露戦争を経て新聞・出版メディアが拡大する報道写真が成長。
 第二次世界大戦時にはプロカガンダに利用され、また敗戦直後には「マッカーサーと天皇」の写真のように、社会に大きな影響力を持つようになった。

 戦後は戦禍や公害問題を追及するリアリズム写真が隆盛を誇ったが、経済成長とともに私的テーマ、広告へと多彩化する。本書は1974年まで120年に及ぶ歴史を描く。

 下巻は「安定成長期から3・11後まで」。

 1970年半ば、消費社会が爛熟するなか「an・an」を筆頭にヴィジ