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よくあるご質問

100回記念!! ★★5月歌会 作者名の発表★★


作者名(敬称略)の発表です。
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<前半>
・(01) わが手より離れしテープ甲板に旅立つ君が手に丸めゐる(Tommy)

・(02) 宵の月淡く映せる水(み)張り田に競い響動す求愛の歌(残照)

・(03) 夢の中ツイートしてた神様と祈りの行方確かめるため(ぼく)

・(04) 痩せてゆく石けん泡を吐きゐたり全てを水に流さんとして(ゆかんぼし)

・(05) 母の日に箱いっぱいの紅薔薇を送り来し娘よ 君も母なり(夢路)

・(06) バリケード封鎖をくぐれば使い捨ての言葉ばかりが散らかっていた(つだみつぐ)

・(07) フクロウはいつになったら飛び立つか大河に人の流れるをみて(風任せ)

・(08) 身ぐるみを剥がされ何処へ消えたのか 貝殻だらけの海は静かだ(笑みこ)

・(09) 武者人形飾ればふいにオルゴールああ気分良しと鳴りわたりけり(anna)

・(10) 眼の前は染井の吹雪背後には吉野恋々この弥生尽(梨の花)

・(11) パソコンの『背景』次々代りゆき地球彷徨い迷子の私(やぐるまそう)

・(12) 歯茎痛治まり煎餅パリパリと命の音も共に味わう(サクラ2)

・(13) 何もかも分け合い二人で生きてきた寂しい老後コロナでにぎわう(サンディ)

・(14) 梅雨寒むも追い打ちをかける巣籠りにただ紫陽花の咲くを待つ庭(セイチャン)

・(15) 十歳の障害の吾子膝に乗せ友はいいたり神様の子と(りりちゃん)

・(16) 小児科の中の爆発ピタとやむ泣き叫ぶ児の診療終えしか(すみれ!)

・(17) 西洋も日本もすべて素敵です春の野に咲く蒲公英の花(すずめ)

・(18) 宣言はもうやめにしてこれからは右手掲げて宣誓をせよ(グッドライト)

・(19) コリア街と並べて楽し中華街その横ポツン日本街あり(カナ_カメリア)

・(20) 教職を天職として五十年父は楷書の人生を閉ず(ペガサス)

・(21) お持たせの柏餅に「味噌あんよ、残れ!」と念じ茶をいれにゆく(たま)

・(22) 明日もまた東京出張とふ夫にみかんぶつけし若き日の吾(えいこママ)

<後半>
・(23) 「振り向いて」ささやいてみる黒髪の流れる乙女の後ろ姿に(すずめ)

・(24) 春紫苑VS春の姫女苑 凛と立ちゐる姫の勝ちとす(グッドライト)

・(25) 家の薔薇うさぎの尻尾ほどの地に芽を伸ばし合うサラ、ネネ、サルサ(残照)

・(26) 一升徳利抱きチビリと一人酒想いは遠く昭和の時代(ぼく)

・(27) 井戸の底に落ちるよな夢見る私 母は空飛ぶ鳥になる夢(やぐるまそう)

・(28) 柏餅買い来てラインで送りたりさあさ吾子たち頂きましょう(anna)

・(29) 一吹きで舞い散りできた花筏つきつはなれつ川面を下る(風任せ)

・(30) 野仏の転がる帽子を深々と被せる夫の背に朝日さす(りりちゃん)

・(31) 亡き夫に逢いたし庭に芍薬の白く大きな花ひらきたり (えいこママ)

・(32) ドーナツより空だと知った君と僕 寄りかかるなら浮き輪でいいや(カナ_カメリア)

・(33) 出がらしのお茶が旨いという夫はお茶のふるさと島根の生まれ(サンディ)

・(34) 太極拳の影は冬陽に移りゆき滅びの兆し微かに生れぬ(梨の花)

・(35) 黒ヘルのあいつもたぶんいまごろは孫と芝生で水遊びしてる(つだみつぐ)

・(36) 君想う夜の終わりのノクターン カンパニュラの花仄かに匂う(笑みこ)

・(37) 軽やかな早緑色に囲まれて小さき入江に葉洩れ陽の射す(Tommy)

・(38) 糞付いた紙箱替えて駅員はヒナ鳥数え仕事に戻る(たま)

・(39) ポケットにティッシュペーパー残しおき洗濯物が反乱起こす(ゆかんぼし)

・(40) マイカーもバスもダンプもみな停めてカルガモ一家がお通りになる(ペガサス)

・(41) 麦畑を黄金に染める風に立つ老いの吾が道染まらぬものか(サクラ2)

・(42) 焼かれつつ肉も野菜も太陽(ひ)を浴びるバーべキューとは青春のこと(すみれ!)

・(43) 焼きたてのまだやわらかき食パンを抱えて帰る月曜の朝(夢路)

・(44) 横浜の水源の郷(さと)道志村コロナ感染なきものと祈る(セイチャン)

コメント

残照さん

2021年05月25日 00:43

管理人さん、副管理人さん、私の歌にコメントをくださった皆さんありがとうございました。今月も多くのことを学ばせていただきました。岡井隆さんの入門書に、短歌を楽しもうなどと思って初めてはいけない。短歌はそれほど甘いものではない。と書いてあります。毎月、きつい言葉をいただくたびに、この言葉を噛みしめています。

・(02) 宵の月淡く映せる水(み)張り田に競い響動す求愛の歌(残照)
この歌の「水張り田」は私が作ったのではありませんが造語です。何か反応があるかと出してみました。下の句が固いとのご指摘、私としましては、夜の静寂をかき乱す騒々しさを上の句と対比させたいと思って作りました。結句につきましては蛙という言葉を使わないで蛙をイメージしたいと思いましたが他の言葉がうかびませんでした。

(25) 家の薔薇うさぎの尻尾ほどの地に芽を伸ばし合うサラ、ネネ、サルサ(残照)
慣用的な言い方に「猫の額ほど」というのがあるが、違った表現に挑戦してみたいと思って「うさぎの尻尾」と表現してみました。歌意は狭い土地に密植されているにもかかわらず、張り合って芽を伸ばし合っていますです。

すみれ!さん

2021年05月24日 18:16

グッドライトさま&皆様
今月も沢山のご意見をお書きくださってありがとうございました。
とても良い勉強になりました。
これからの作歌に行かせると良いのですが、なかなかうまくいかず、いつまでたっても駄作ばかりです。今後ともよろしくお願いいたします。

えいこママさん

2021年05月24日 11:11

私の歌について
・(22) 明日もまた東京出張とふ夫にみかんぶつけし若き日の吾
・(31) 亡き夫に逢いたし庭に芍薬の白く大きな花ひらきたり

個人的な話ですが 五月は夫の17回忌でした。
もうこんなに経ってしまったのかと驚くほど 時間の流れの速さを感じました。
普段は夫の事などすっかり忘れて 一人の生活を楽しんでいたつもりでした。

今回 命日を迎えることで 夫婦でいたころの自分を振り返る機会を得ました。

(22)の歌は 
まだ新婚のころ このころの社会情勢は「企業戦士」とか「モーレツ社員」などと言われるほど社員はよく働く時代でした。
夫もその一人で仕事一筋で頑張っていたのでした。家族のために頑張っているのに愚かな私は 旅行に行きたいとか ドライブしたいとか言って夫を困らせていたのを思い出します。些細なことで喧嘩もしたなぁ~と思い出しながら詠んだものです。

(31)の歌は
そんな昔を想いだしていると 漠然と「夫に逢いたい」という気持ちが強くなりました。頭の中に「亡き夫に逢いたし」の言葉が浮かんできて消えません。
次に続く言葉を考えたのですが なかなか思いつかなくて 庭を見たら芍薬の花が満開でそのままを書いてしまいました。

皆様からも選歌していただき コメントを有難うございました。

梨の花さん

2021年05月24日 03:32

今回は何だか難しいお歌が多かったように感じました。いろいろ調べたりも楽しいです。自分の歌について。

・(10) 眼の前は染井の吹雪背後には吉野恋々この弥生尽
 今年の桜は早かったように思います。3月末にはソメイヨシノは吹雪になっていました。この歌、ちょっと遊んでみたものです。染井吉野を2分割して、染井と吉野という二人の遊女に見立て、前には染井、背後には吉野、その間にいる自分…。要するに花吹雪の只中にいる、ということ。大島桜や山桜では出来ないけれど、染井吉野という名前からイメージしました。

・(34) 太極拳の影は冬陽に移りゆき滅びの兆し微かに生れぬ
 太極拳、前からやりたいと思っているのですが、なかなか実行出来ないでいます。
台湾で、早朝の公園でひとり太極拳をしている女性を見かけたことがあり、そのゆっくりした美しい動きが印象的でした。下句はわかりにくかったかも。太極拳の動きにつれ、心の中にこの世界は滅びに向かっているのだ、という思いが生まれたように感じて…。

管理人さんはじめ、コミュの皆さま、今月もいろいろ勉強させていただきました。ありがとうございました。

つだみつぐさん

2021年05月24日 02:50

自歌註解です。

(06) バリケード封鎖をくぐれば使い捨ての言葉ばかりが散らかっていた
(35) 黒ヘルのあいつもたぶんいまごろは孫と芝生で水遊びしてる

全国主要大学すべてが学生によってバリケード封鎖されていた1969年、わたしは浪人生で、お茶の水にある駿台予備校に通っていました。そばには中央大学、日本大学がありました。
とくに日大は、広い道路に面した校舎の窓という窓から色とりどりの「クラス旗」が突き出ていました。
ある日それがどんどん引っ込められていくのを目にしました。なにが起きるのか見ていると学生たちがクラス単位でその旗を先頭に隊列を組んで整然と出てきて、6車線ある道路は無数の学生で埋め尽くされました。その時はほとんどの学生はヘルメットも角材も持っていませんでした。

このころ全メディアも国民も学生の味方でした。
わたしは「日本革命が始まったのだ」と思いました。わたし自身は思想的に代々木派でしたが。

その後内ゲバ・内々ゲバ・安田講堂の攻防があり、過激化した運動は急速に衰退し、赤軍派・京浜安保共闘によるハイジャックや殺人にいたり国民の支持を失いわずか数年で学生は「非政治化」して現在に至ります。

「この国を変えよう」と本気で信じ立ち上がった大学生・高校生、それに呼応した労働者たち、深く傷つき深く失望した無数の人々。

わたしの中でいまも「総括」されていない「彼らは・わたしたちはどこで間違ったのか?」という疑問。
そもそもあれは何だったのか?

たまさん

2021年05月23日 23:32

・(21) お持たせの柏餅に「味噌あんよ、残れ!」と念じ茶をいれにゆく
 子どもの頃に初めて食べた花びら餅の味噌あんが衝撃的においしくて、以来半世
 紀ずっと味噌あんファンです。
 二句目の字足らずには全く気づきませんでした。それほど、私にとって流れは自然
 だったのです、ちょっと抜け感があって。
 ペガサスさんや梨の花さんのアドバイスで詠むと
 ・お持たせの柏餅開け「味噌あんよ、残れ!」と念じ茶をいれに立つ 

・(38) 糞付いた紙箱替えて駅員はヒナ鳥数え仕事に戻る
 燕のヒナが巣から喉を伸ばす姿がかわいくて、読んでみたかった景です。
「糞」「数える」は必ず入れたいワードでした。GLさんのご指摘されたように~し
 て~しては私も気になりましたが、あとのまつりでしたね。
 

カナ_カメリアさん

2021年05月23日 21:36

グッドライトさん
全首コメントありがとうございました🙏
また私の拙い歌は言葉足らずで、理解に悩ませてしまい申し訳ありません🙇‍♀️

コリア街と並べて楽し中華街その横ポツン日本街あり
大阪市にはコリアンタウンという地域があり、いまはその区の近くにチャイナタウンを造成している最中です。

ドーナツより空だと知った君と僕 寄りかかるなら浮き輪でいいや
最初の頃は、互いに中身の詰まったパンケーキだと思っていたけれど、年月を経たいま中身のないスッカスカだと気がついた。
同棲カップルの末期、1人でいるよりも2人でいる時の方が寂しい、といった感じです。

すみません。もっと精進します。

風任せさん

2021年05月23日 21:22

グッドライト様いつもお世話です。

ミネルバの梟は迫りくる黄昏に飛び立つ。ヘーゲルの歴史哲学の序説にある有名な言葉なので皆さまご存じだだろうと軽く考えてました。若いときはかなり哲学にかぶれてました。わたくしたちの間での言い回しでは「ミネルバの梟は迫りくる夕闇とともに飛び立つ」でした。知性を信じ弁証法を論じていた若いころのことを思い出しました。
花筏の歌は桜満開のころ柏尾川のほとり公園のベンチに寝転んで眺めているときに目にした光景です。まさに強めの風が吹きどっと桜の花をちらしたあと川面にできた花筏がゆっくり流れてゆきました。川面もうねりなど場所によって表情を変え、一枚ではなくいくつかに分かれて流れに任せて下ってゆきました。

ペガサスさん

2021年05月23日 20:15

作品の作者を当てるのも楽しみの一つですが、中々当たらないものですね~
グッドライトさんの辛口コメントがいつも楽しみです。参考にして推敲して見ます。
有難う御座いました。

ゆかんぼしさん

2021年05月23日 19:47

非常に参考になりました。
これはコロナ禍の歌のつもりでした。伝わらなくても良いと思ってましたが、全く伝わりませんでしたね。考え直さなくては。
・(04) 痩せてゆく石けん泡を吐きゐたり全てを水に流さんとして(ゆかんぼし)


・(39) ポケットにティッシュペーパー残しおき洗濯物が反乱起こす(ゆかんぼし)
この歌の主語は洗濯物なので、意思を持ってティッシュペーパーを残しておいたわけなのですが、これも伝わりませんでしたね。実は続きにミャンマーの反逆?がありました。手法に再考しなければ。

りりちゃんさん

2021年05月23日 19:31


管理人、副管理人様全首にコメントありがとうございました
また、私の歌を選んで沢山の歌評をして下さいました皆様
ありがとうございました>
(15) 十歳の障害の吾子膝に乗せ友はいいたり神様の子と
   皆様の歌評で二句めの吾子で自分の子とも、友の子とも
   とれる事に気が付きました、この歌に関しては梨の花さんの歌評
   が私の代弁者でした、お嬢さんは二十三歳で亡くなられましたが、友は
   大切に本当に全ての愛情を注ぎ神様の子の境地に達していました
   今は残りの人生を福祉の仕事と沢山の趣味の中で生活しています
   すべてに尊敬できる永年の友です、
 (30) 野仏の転がる帽子を深々と被せる夫の背に朝日さす
    結句を気にしつつ提出しました、皆様に良いアドバイスを
    沢山頂きました、散歩の途中お地蔵様の赤い毛糸の帽子が
    風に飛ばされているのを主人が拾って不器用に被せていた
    様を詠ってみました、一番詠いたかったのはその不器用な
    様でしたが出来上がった歌は少しずれていました。
今月も楽しく学ばせて頂きましたありがとうございました。

夢路さん

2021年05月23日 19:08

5月歌会も、管理人&副管理人、皆さまのコメントや寸評で盛り上がりました。
私は、最後に歌の作者名と自分の歌への辛口コメントを読むのが楽しみです。(笑)

歌の背景
① 母の日に箱いっぱいの紅薔薇を送り来し娘よ 君も母なり
とても分かりやすい歌だと思います。
結句の前の一字空けが、賛否両論あるかなとのGLさんの質問でした。
その質問に対しての、皆さんからのお答えはそれぞれ参考になりました。
作者の思惑にいちばん近いのが、えい子ママさんから頂いたお答え
でした。でも、一字空けはなくてもいいのではとのご指摘でしたね。

>母の日にたくさんの紅薔薇を送ってくれてありがとう (ふと思うと)あなたもお母さんなんだよね。()の部分を一字空けにしたのだと思いますが 空けなくてもいいような気がしました。<

この歌で私自身がいちばん云いたかったことは、結句がすべてでした。
だとすれば、初句から4句までの言葉が何ともったいない、何と贅沢に言葉を
使っているの!という想いが(投稿した後に)わいてきました。
投稿した後で、自作の歌を客観的に読むと悔いが残るものですね。
(えい子ママさんの推敲例)
*母の日に母となりたる娘より箱いっぱいの紅薔薇が届く
何と的を射ていて、私の想いを汲み取って下さいました。
ありがとうございます。

② 焼きたてのまだやわらかき食パンを抱えて帰る月曜の朝

この歌にも皆さんからたくさんのコメントを頂きました。
おひとりおひとりの想像力の逞しさと感性を楽しませて頂きました。
また、グッドライトさんからは、事実でなくてもいいから、土曜か日曜と
した方がベターだとのご指摘がありました。
それはごもっともなのですが、今回はリアリティーに徹しました。
結句の「月曜の朝」の意味は、極めて現実的で個人的な理由からです。
・行きつけのこのパン屋さんは、月曜日がポイント2倍デーなのです。
・袋に入れた食パンを大事に大事に抱えて帰るのは、家で待っている
夫がパンの形に拘る人で、崩さないで持ち帰るのが私の役目だからです。

グッドライトさん

2021年05月23日 18:04

選歌と寸評(その1)
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・(01) わが手より離れしテープ甲板に旅立つ君が手に丸めゐる
船の別れは電車のそれとまた違った感慨があるものだ。景と動作だけを詠っているところがよい。「わが手からテープ離れて甲板の君はテープの我(わ)を手繰り寄す」テープをリフレインしてみた。

・(02) 宵の月淡く映せる水(み)張り田に競い響動す求愛の歌
結句の「求愛の歌」はまとめすぎ。使い古されたような言葉を結句に用いると歌の良さがそれだけで失われる。

・(03) 夢の中ツイートしてた神様と祈りの行方確かめるため
「ツイートしてた」で切れるのか、あるいは「神様」に掛かるのか。現代的でユニークと好評だが、私にはいまひとつ何が言いたいのかわからない。

・(04) 痩せてゆく石けん泡を吐きゐたり全てを水に流さんとして
水に流すために石鹸は泡を出すのか。水に流そうとしている主体は石鹸か。私の中では混乱してしまう。「石けんは泡を吐きつつ待ちゐたり全ては水に流されること」ではないのか。

・(05) 母の日に箱いっぱいの紅薔薇を送り来し娘よ 君も母なり
「送り来し娘よ」は正確には「送りたる娘よ」。この結句は結句にしない方が良い。この歌には【問1】を立てましたが、えいこママさんが私の意図を全て汲み取って、私とほぼ同じ推敲例を交えて答えてくれました。

(候補作3)・(06) バリケード封鎖をくぐれば使い捨ての言葉ばかりが散らかっていた
私なら初句は「の」を補って二句の「を」を省略する。下句はやや抽象的なきらいはあるが文学的な表現になっている。これはこれでよいだろう。具体的な言葉を用いた場合は、この歌と別の歌とすることができる。その両面から作歌を考えることは有意義だ。

【選歌4】・(07) フクロウはいつになったら飛び立つか大河に人の流れるをみて
一種のコロナ詠ともとれる。ミネルバのフクロウであろう。やや難解ではあるがこれは十分許容できる範囲だ。「大河」にこの世と時代を重ねているのだろう。言いさし風の結句は個人的には気になるところだが、歌の流れからやむを得ないところだろう。

【選歌5】・(08) 身ぐるみを剥がされ何処へ消えたのか 貝殻だらけの海は静かだ
貝殻だらけの海は実景だろうか。浜ではなく海の中の貝殻は見えない。実景とは思えない。貝殻を衣服や家の兪とすれば津波を強く連想させる。その意味で東日本大震災を意識していると読み取れる。こういう歌も十分成立する。

・(09) 武者人形飾ればふいにオルゴールああ気分良しと鳴りわたりけり
武者人形とオルゴールの取り合わせに不意を突かれる。「気分良し」もうどうだろう。また結句の「けり」はややくどく感じる。「武者人形飾ればふいにオルゴール刀抜きたるごとく鳴りたり」武士の刀を兪としてみた。

・(10) 眼の前は染井の吹雪背後には吉野恋々この弥生尽
ここで「染井」は染井霊園か染井吉野か。おそらく染井吉野だろう。「弥生尽」はこの一首をまとめる働きが強く活かされているとは思えない。二字熟語が多いのも難点とみた。

・(11) パソコンの『背景』次々代りゆき地球彷徨い迷子の私
PCの壁紙のことだろうか。結句の「迷子の私」は、私は迷子になっているといいたいのだろうが「・・彷徨う」だけで十分わかる。「パソコンの変われる景を彷徨いぬ昨日アラスカ今日はアフリカ」などとしたらどうだろう。

・(12) 歯茎痛治まり煎餅パリパリと命の音も共に味わう
「命の音」に工夫を懲らしたのだろうが大袈裟と感じる。パリパリも平凡でもったいない。「歯の痛み治りて煎餅食すればばりばりばばばと音の暴れる」としてみた。

・(13) 何もかも分け合い二人で生きてきた寂しい老後コロナでにぎわう
下句がわかりにくい。結句で作者は何を言いたかったのか。このような場合、情報をシンプルにして心情を読み手に任せるのも一法だ。例えば「何もかも分け合い二人で生きてきた雛罌粟の花風に揺れいる」など。

・(14) 梅雨寒むも追い打ちをかける巣籠りにただ紫陽花の咲くを待つ庭
全体に表現がぎこちない。「追い打ちをかける」はなくてもいいと感じる。「わが庭の銀の紫陽花待ち遠しこの梅雨寒に巣籠りおれば」ペガサスさんも良い例を示していた。

・(15) 十歳の障害の吾子膝に乗せ友はいいたり神様の子と
二句は「吾子を」と助詞を補いたい。ここでは「十歳」という正確性は不要である。「障害のもてるわが子を抱き寄せて君は言いたり<神さまの子>と」

・(16) 小児科の中の爆発ピタとやむ泣き叫ぶ児の診療終えしか
「爆発」「ピタ」は面白い。結句は弱いと感じる。また結句の字余りは気になる。「小児科の中の爆発ピタとやむ泣き叫ぶ児のふいに消えたり」と展開させてみる。

・(17) 西洋も日本もすべて素敵です春の野に咲く蒲公英の花
西洋タンポポと日本タンポポがある。「すべて素敵です」とは素直な表現。「春の野に咲く」に若干の変化が欲しい。「西洋も日本もみな素敵です海を知らない蒲公英の花」このようにすると詩情の広がりが出る。

・(18) 宣言はもうやめにしてこれからは右手掲げて宣誓をせよ
宣言とは緊急事態宣言ことだろう。政府にはコロナ撲滅の決意が欲しい。二句三句が冗長なので「「宣言」は勝利のあとに さもなくば右手をあげて宣誓をせよ」とする。

(候補作4)・(19) コリア街と並べて楽し中華街その横ポツン日本街あり
「コリア街」は「コリアン街」に、「ポツン」は「ぽつんと」にする方を好む。「並べて」とあるので模型だろうか。「その横」に日本街とあるのでおそらく模型だろう。面白い歌になっている。

(候補作5)・(20) 教職を天職として五十年父は楷書の人生を閉ず
「楷書」と言う表現に生真面目さが滲む。「教職」「天職」という「職」のリフレインも効いている。歌としては完成形だが内容的にはどこか既視感がある。

(候補作1)・(21) お持たせの柏餅に「味噌あんよ、残れ!」と念じ茶をいれにゆく
お持たせなので客を優先し選択順位が下がるのかも知れないことを詠っているのだろう。味噌餡へのこだわりが面白い。ストレートな心情が具体的でリアリティがある。二句目の字足らずは「柏餅にて」としたい。

・(22) 明日もまた東京出張とふ夫にみかんぶつけし若き日の吾
「みかんぶつけし」が効いている。「ぶつけし」が平仮名なので「蜜柑」と漢字にしていい。結句の体言止めはどうだろうか。「若き日」ではなく「若き日の吾」とまで言う必要があるか。用言で終える一首も合わせて作りたい。

グッドライトさん

2021年05月23日 18:03

選歌と寸評(その2)
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・(23) 「振り向いて」ささやいてみる黒髪の流れる乙女の後ろ姿に
上下の倒置法による。少女は振り向いてくれたのだろうか。悪くはないが「黒髪の流れる乙女の後ろ姿」までがどこか明治期の浪漫派的で使い古された感が否めない。「ささやいてみる」も若干弱い表現。

・(24) 春紫苑VS春の姫女苑 凛と立ちゐる姫の勝ちとす
この時期はハルジオンとヒメジョオンが同時に咲く。春はジで姫はジョに注意。ほとんど見分けが付かない。観察すると歌のとおりなのが分かる。

・(25) 家の薔薇うさぎの尻尾ほどの地に芽を伸ばし合うサラ、ネネ、サルサ
「家の薔薇」と言う初句が気になる。「うさぎの尻尾ほどの地」は必要だろうか。この結句はこの一首で何を言いたいのか分からない。芽を伸ばす描写に徹したい。

・(26) 一升徳利抱きチビリと一人酒想いは遠く昭和の時代
「徳利」「酒」「昭和」などこの手の歌としては新規性に乏しい。「チビリ」もしかり。下句にオリジナリティを出さないと歌になりにくい。結句に「昭和の時代」という総括する言葉を用いた時点で採れない歌になった。

・(27) 井戸の底に落ちるよな夢見る私 母は空飛ぶ鳥になる夢
殊更の意図がなければ「落ちるよな」は「落ちるような」とすべき。夢の歌は一般に弱くなる。この歌の場合も作者が何が言いたいのか理解に苦しむ。この歌について特に解説してもらいたいとも思わない。

・(28) 柏餅買い来てラインで送りたりさあさ吾子たち頂きましょう
「あ」の母音の用い方が効果的でリズミカル。さてラインで送るとは、LINEで写真を送ったと言うことか。初句は「柏餅を」と助詞を補いたい。下句は面白い。悪くはないがいまひとつ何かが欲しい。

・(29) 一吹きで舞い散りできた花筏つきつはなれつ川面を下る
「一吹きで舞い散りできた」までが説明的に感じる。「つかずはなれず」ではなく「つきつはなれつ」としているので「付いた離れた川面をくだる」となり意味がややとりにくくなる。素材はいいので5,6首ほど作歌してから推敲してみたい。

(候補作2)・(30) 野仏の転がる帽子を深々と被せる夫の背に朝日さす
景が浮ぶ歌。「転がる帽子を深々と」と丁寧に描写しているが夫の背をもう少しクローズアップさせてみるとこんな歌になる。「野仏に帽子かぶせる夫の背は朝日降りゐる大海原ぞ」

【選歌1】・(31) 亡き夫に逢いたし庭に芍薬の白く大きな花ひらきたり
句またがりの初句二句で強い心情を、二句途中からゆったり景を詠っている。句またがりが効いていて巧み。「白く大きな」は文語であれば別の言い方になろう。【問】に対する私のコメントはほぼ梨の花さんが代弁してくれている。また参考になる例も示してくれた。

【選歌3】・(32) ドーナツより空だと知った君と僕 寄りかかるなら浮き輪でいいや
難解で謎的な歌だがどことなく詩情がある。①ドーナツ → 穴 → 空(そら) → 空(くう)・虚無 の流れと、②ドーナツ → 輪 → 浮き輪 寄り添い → もたれ合い の2つの流れに連想できる。その2つの抽象の世界を行き来しながら読み手も遊ぶことができる。理解する歌ではなく感じる歌。感じられなければそれはそれでよい。

・(33) 出がらしのお茶が旨いという夫はお茶のふるさと島根の生まれ
お茶の産地出身なのに・・と言うギャップ。もしそこが眼目ならこんな感じに強調してみた。「出がらしのお茶がうまいという夫はお茶の産地の島根の産ぞ」

【選歌2】・(34) 太極拳の影は冬陽に移りゆき滅びの兆し微かに生れぬ
やや分かりにくい歌だがコロナ詠に読める。微妙な心情を景の中に捉えている。光と影、希望と滅亡と明示していないが二元論的に解釈すると分かりやすくなる。「移りゆき」に時間を意識させている。結句は「生」に「あ」とルビを振るとよい。あるいは「微か生れぬ」「微かに生る」「微か生るる」としてもよい。

・(35) 黒ヘルのあいつもたぶんいまごろは孫と芝生で水遊びしてる
歌意はよくわかる。音数の関係かも知れないが「たぶん」と「いまごろは」に重複感あり。「黒ヘルのあいつも今は孫たちと庭のホースで水遊びする。」過去の動作との対比も出してみた。

・(36) 君想う夜の終わりのノクターン カンパニュラの花仄かに匂う
「ノクターン」とか「カンパニュラ」の2語が言葉として目立つ。「仄かに匂う」は表現として甘い。全体に思わせぶり感じで伝わって来るものがない。雰囲気だけの歌になったのが残念。

・(37) 軽やかな早緑色に囲まれて小さき入江に葉洩れ陽の射す
初句二句はもっと細やかに描写したい。作者の立ち位置も分かりづらい。作者の見た景を想像して「さみどりの葉に囲まるる小(ち)さき江は木漏れ日受けてその日を返す」としてみた。

・(38) 糞付いた紙箱替えて駅員はヒナ鳥数え仕事に戻る
良いところに着眼している。歌の素材としていい。ただ「~して、~して」と表現がややぎこちなく流れが悪い。事柄が多いので少し省略したい。「駅員は糞にまみれた箱を替え雛を指さし数えて戻る」とした。

・(39) ポケットにティッシュペーパー残しおき洗濯物が反乱起こす
「あるある」の景を歌にしたもの。「残しおき」は「残りいて」だろうが、そもそも不要では。「ポケットのティッシュペーパーこの朝に洗濯槽にて反乱起こす」残っていたと言うこと自体が説明になっている。

・(40) マイカーもバスもダンプもみな停めてカルガモ一家がお通りになる
一読して景もよく分かり和やかになる歌。ただ映像的な既視感があり個性に乏しい。「○○豆腐店」など固有名詞を出すなど、どこかに何らかの工夫を施し印象的なものにしたい。

・(41) 麦畑を黄金に染める風に立つ老いの吾が道染まらぬものか
二句の「染める」は切れるのか風にかかるのか。結句はペガサスさんの例のように命令形が有効だろう。私なら「麦畑を黄金(こがね)に染めるこの風よわが行く道も黄金に染めよ」などとしてみたい。吾が道・・を省略して景だけにするのも良い歌になる可能性がある。

・(42) 焼かれつつ肉も野菜も太陽(ひ)を浴びるバーべキューとは青春のこと
「太陽」を「ひ」とルビを振るのは無理があり容認できない。「陽」で十分。下句はいいたいことはわかるが効いていない。ストレートに「青春」はどうだろう。あまりいい例ではないが下句は「バーべキューとは彼の夏の浜」としてみた。

・(43) 焼きたてのまだやわらかき食パンを抱えて帰る月曜の朝
日常の行動を素直に詠んでいるところがよい。読み手は結句の「月曜の朝」に込められた意味を読もうとする。曜日を入れるなら事実でなくても日曜とか土曜日が良いのでは。一般に「焼きたて」=「やわらかき」なので変化させる余地がある。買ったばかりなので「まだ」とまでいわなくてもよい。「月曜の朝はいつものパン屋にてほんのり温きを抱えて帰る」

・(44) 横浜の水源の郷(さと)道志村コロナ感染なきものと祈る
「道志村」にはキャンプ場もある。志村けんとの志村繋がりからできた歌だろう。下句は標語的に希望をそのまま表現しており歌としては余韻が生まれない。