雨の斑鳩路・・・

JR桜井線の終着駅奈良で乗り換え、大和路線に乗って法隆寺を過ぎ王子駅に着いたのは夜の八時頃だった。西友ストアーの一階の出口を出て、バスターミナルのタクシー乗り場の端に出ると白の軽自動車が遠慮がちに止まっていた。「車が駅に着いたよ・・」「今行く・・」携帯メールを交換した後、私は車の背後からゆっくり歩いて近付いた。

 助手席のドアーを右手で開閉して中の椅子に座って両手でシートベルトを締めると、運転席で保子はクスッと笑って上半新を屈めた。「可笑しいのっ?・・」「だってっ・・」保子はゆっくり車を走らせた。

 「未だ時間が早いから、何処か静かな処で話する?・・