ドアーの前でピタリと止まった足音

夜中にアパートの廊下をゆっくり歩いて来る足音が聞こえ、私は友達が来たものと勘違いし、焼酎の水割りを飲みながらドアーをノックするのを待った。足音は私の部屋の前でピタリと止まり、ノックをしない。「どうぞ!開いてますよ。」多分友達が悪戯をしているのだろうと、私は思った。「開いてるよ!、、、」何の返事も無かった。私は急いで内側から鍵を掛け、側に置いて有る木刀を左手に持った。ドアーを開けて見ようと思う気持ちが有ったが、大事な事に気がついていた。古いアパートなので玄関にガラス戸が有り、一番奥の部屋に住んで居る私にもその戸口を開ける鈍い音が必ず響く。その時に限って、ぎ