ミニ恋愛小説「ラブレター」(5)

ワインは2本目が飲み干されようとしていた。孝司が唐突に「トイレに行ってくる」といって立ち上がった。さゆりは不機嫌な顔で頷いた。今は怒りで気持ちが高ぶっていたが、どこかすっきりとした気もする。一年前の決着が付いたような感覚だ。お互い言いたいことを言って発散させたせいかもしれない。
 トイレから出てきた孝司がいきなり「さゆり、セックスしよう。服を脱いで!」と言いながら自ら脱ぎ始めた。さゆりは無視を決め込んだ。リビングから現れた孝司は、素っ裸で臨戦態勢も整っていた。それを見たさゆりは、声をあげて笑った。
 
 初夏の明るい日差しがカーテンの隙間から長く延びてベ