野上弥生子「真知子」1928年ころ

野上弥生子 「真知子 」と、短編 「狐」など数編を読みました。
「真知子」は昭和3〜5年ころ、身分家柄を条件にする縁談を嫌い、周囲が最も敵視する共産主義の運動家に心を揺さぶられる24歳の知的な婚期の女性の心の物語です。24歳は、幼いところもありますが、家々の縁談の主役、親、親類の将来のために役割りを託されている責任ある立場にある。
上流階級の奥様方、娘たちの東京の贅沢なお付き合いの光景のかげで真知子は密かに心を惹かれていた運動家に、利用されそうになるが、からくも危機をすり抜け、傷つき、そして虚脱を克服します。
かつては拒んだ富豪の子息が、労働争議で没落し