婚礼の儀式は簡素であっても厳粛であることは今も
昔も変わりはない。
上田の城の大手門には盛大な門火が焚かれ、正装の
家臣たちは左右に居並んで輿を迎えた。
新婦は侍女房にともなわれて婚儀の席に就いた。
広間の中央には鴛鴦が飾られ床の間の立花は一瓶の
中にのみ花の輪を向かわせてあった。
新郎幸村と昌幸、その重臣は悉く白小袖で座に就き
式三献がすまされた。
その夜、新郎新婦は別々の寝所で寝た。
三日目まではどちらも白装束のまま他人で過ごすのは
平安時代から遺風であった。
第三夜に色のある衣服にあらため再び舅姑(きゅうこ)を
はじめ一家一族に対面の礼
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