第10回・奈良観光ハイキング~奈良市内の有名名所を欲ばり周遊・興福寺五重塔が見れなくなる前に。のイベントレポート

第10回・奈良観光ハイキング~奈良市内の有名名所を欲ばり周遊・興福寺五重塔が見れなくなる前に。

昨夜から降り出した不意の雨は朝まで続き、集合前に止んだ。どんよりした曇り空の下、近鉄奈良駅に集まった。

あいにく趣味人からの参加者はゼロだったけど、ウォーキング教室とストレッチ教室から5人が集まった。すでにみんな顔見知り。軽く挨拶してすぐ歩き始めた。

もちいどの商店街を南へ抜けると、そこは猿沢池。まずここから興福寺の五重塔を一度見上げる。今日の中心はこの塔にある。いろんな角度から見て、記憶に留めるためのハイキングだ。

ならまちをのんびり歩くと、元興寺に着く。「えっ?ここ?」と疑問の声が出る。そう、裏から入ることは普通しないからだ。しかし裏から入るからこそ、本堂がよく見えるし、拝観料を払わなくても、表へ抜けることができ、本堂の全景を拝むことができる。

大乗庭園は柵越しに覗き、由緒ある奈良ホテルへ向かう道からは見下ろすこともできる。赤い橋と緑のコントラストがとても綺麗に手入れされている庭園だ。

奈良ホテルの道路向かいへ渡ると、興福寺の五重塔が見えた。右へ曲がると芝生が広がり開放感溢れる空間に、鹿の大群が体を休めている。夏になると側の川で水浴びする鹿を見ることもできる。

そのまま真っすぐ抜けると、浮見堂が見えた。外国人カップルが寄り添って写真を撮っている。他に誰もいない二人だけの世界に、邪魔してしまった。せっかくなので、私たちも記念撮影。

道路を渡って飛火野へ。ここは広大な芝生広場。「誰が芝の手入れをしているの?」と言う質問が出ると「鹿です」と答える人がちゃんといる。質問者は驚きの声を上げる。それもそのはず、広大な土地を綺麗に手入れしようとしたら、ものすごい時間と手間がかかる。それを鹿がやってくれているのだ。ちなみに鹿の糞は、フンコロガシという虫が集めてくれるので、人が手間をかけることはない。そんな話も飛び交い、歩きながら新しい知識を得ていく。

鹿苑(ろくえん)へ来ると、怪我で保護された鹿や、出産を待ってる鹿がたくさんいる。鹿の角切りベントのある所だ。そこから春日大社へ向かう。

参道は灯籠がたくさん建てられている。そこで珍しい灯籠を発見する。「これ、イノシシかな?」と、彫刻が彫られている灯籠を発見した。後ろから見ず知らずの男性が近付いてきて「それは、獅子です。反対側には、龍も掘ってあります」と説明してくれた。口に出してみると答えが出てくるのは有り難い(笑)

その先には、雄と雌の鹿がグルリと回すように掘ってある灯籠は知っていたので、これは私が説明する。春日大社でも、案内板を見ながら話していると、横にいたボランティアさんが説明してくれた。

若草山の麓へ来ると、少し青空が出てきたので、気分も変わる。修学旅行の学生さんがたくさんいて、芝生の上でお弁当を食べている。私たちもベンチに座ってお弁当タイム。お喋りの内容は、食べ物の話。目にしたもので喋るテーマが決まるのは普通だ。歩きながらも口が止まらないが、食べる時もお喋りは止まらない。

二月堂から見下ろす市内は、見るたびにどんどん木々に隠れていく。昔の人はもっとスッキリした都を見ていたのだろう。さらに今日は黄砂のせいか、霞んで遠くはよく見えない。

正倉院から転害門へ行くと、ボランティアさんが説明してくれた。せっかくなので、カメラを渡して記念撮影。転害門のパンフレットに、「てんがいもん」とフリガナが付いていた。「てがいもん、じゃないんですか?」と尋ねると、どちらでも良いという説明。日本語は曖昧だ。元々、「害が転じると言う意味らしいので、てんがいもんでも良いらしい」。「てがいもん」と覚えてきたのに、いまさらそんなこと言われても・・・。目の前の交差点には「tegai-mon-gate」と表示してる。どうやねん!

そこから東大寺へ向かおうとしたら「もういいよ」との声。それもそのはず、駅と反対方向へ連れて行こうとしている。「まだ東大寺と南大門行く予定なんですけど?」と言うと、「知ってるからもういいよ」と言われ、みんなの声を聞いて省略。

本日のメイン、県庁の屋上へ上がる。360度奈良市内が見渡せる絶景。興福寺の五重塔を少し見下ろす。東大寺も同じ高さから見ることができるのは、屋上ならではの角度。若草山もクッキリ。この頃になると、青空も増えてきたが、相変わらず遠くは霞んでいる。

最後に興福寺へ向かおうとしたら、道路が通れず閉鎖されていた。少し戻らなければならないことで「もういいよ、知ってるから」と。「でも、五重塔の全景は今日まだ見てないよ」と言ったけど、「戻るの邪魔くさい」という事であえなく解散となった。僕ひとりで「写真だけ撮ってくるね」と別れる。

五重塔は工事のため、もうすぐ約8年間見れなくなる。現在の姿を写真に残そう。いろんな角度から撮影。青空が出てきたので、もう一度猿沢池へ行き、下からの眺めも撮影。

最後に、近代建築の南都銀行を見に行く。僕の大好きなギリシャ式建築で、大正時代に建てられた洋風近代建築だ。あまりこれを取り上げる人は少なく、写真を撮っている人を見たことがない。奈良らしくない奈良の一つだが、誇らしい名所の一つだ。

奈良公園を一周するコースで企画したが、すでに知っていると言いながらも、「こんなとこ知らなかったわ~」の連発。さすがに興福寺は誰もが知っているのでパスされたけど、一日歩くにはちょうど良い距離だ。

距離:約14km
TOTAL:5時間38分(休憩時間45分含む)