まだ見ぬ懐かしい季節に

いつか、そんなことがあったね
あの時君は16だった。

季節は終わりを始めていたね
あの時僕も16だった。

五日に一度届く手紙を
誰よりも何よりも、待っていたね

一緒に並んで歩く君を
菫色の空からの風が包んでくれて
素直に伸びた黒い髪が
それに応えていたね

君は僕の夏空色のジャケットを羽織って
少し恥ずかしそうだった。

手をつなぐのも照れてしまって
無言になった二人の間を
優しい風が流れていたね

そんな風にあの夕暮れは
穏やかに流れて行った

そうして僕らは、新しい季節に出会った。


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