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よくあるご質問

記憶に残る時代小説(250冊)・・・作家別【やらわ】

【谷津矢車】【柳 広司】 【矢野 隆】【山本一力】【山本兼一】【山本周五郎】【夢枕獏】【吉川永青】【吉村昭】【隆慶一郎】【渡辺房男】【輪渡颯介】【和田竜】

◆【谷津矢車(やつやぐるま)】
224★「洛中洛外画狂伝 上下」
狩野永徳が描いた「洛中洛外図屏風」が上杉家に渡った経緯を永徳の生涯の物語に絡めて語られていく。「洛中洛外図」は信長が永徳に発注して謙信に贈ったものと思っていたが大きな間違い。後半の物語は狩野永徳と将軍義輝との交誼で一貫している。はたして「洛中洛外図」のメッセージは。巻末に「白屏風と平蜘蛛」の短編を後日譚として。

◆【柳 広司(やなぎこうじ)】  
225★「風神雷神  風の章・雷の章」
上京小川に見世を構える扇屋「俵屋」に、7歳で養子に入った伊年。同じ町内で育った遊び仲間に紙屋の次男・宗二、角倉家の嫡男・与一(了以の子)がいた。与一が始めた嵯峨本で、本阿弥光悦と組んで評判になる。異色の公家・烏丸光広という男に紹介され屏風製作を始めるが・・。扇屋の主には狩野派や等伯とは違った絵の世界があったのか。


◆【矢野 隆(やのたかし)】 
226★「凜と咲きて」
こういうのを超人ものというんだろう。前作の「蛇衆」もそうだったが、登場する凛も藤兵衛もはちゃめちゃの超人。凛は普段は三味線を抱えての芸者が生業、がその三味線には仕込まれた刀と撥が凶器に変わる。そして窮地には、己の丈より長い斬馬刀(備前長船の博物館で見たような)を振り回す。筑前の小藩から出奔して江戸のドブ板長屋で。
227★「蛇衆」
「蛇衆」と呼ばれる6人の傭兵集団の物語。戦国期、舞台は筑後と肥後の境にある鷲尾領。蛇衆は金でのみ雇主と繋がり、主従関係は結ばぬ非情の集団、彼らの前歴は武士ではなく社会からのあぶれ者。朽縄、鬼戒坊、孫兵衛、無明次、夕鈴、十郎太、雇主との仲介役の宗衛門、それぞれが得意な武器で戦う。物語は鷲尾家の家督争いに。
228★「大ぼら吹きの城」
秀吉が清州で信長の小者頭として仕える頃から美濃攻略の起点となる墨俣築城までを描く。針売り時代からの蜂須賀小六との絆の復活や、川筋衆をまとめ上げる過程で己の生きる道を悟っていく。浅野又右衛門の娘・於禰との出会いや川筋衆との関係、初対面の者には大ぼら吹きを押し通す。そして持ち前の人たらし、藤吉郎が頭角を現す過程を。

◆【山本一力(やまもといちりき)】  
229★「たまゆらに」
門倉直子の独特のタッチのイラストが話題になったが、作者としても異色の作品。舞台劇かと思わせる場面展開はたった4場面。主人公は深川で青物の振り売りをする娘、朋乃の遭遇した物語。青菜売りの朋乃は、橋で50両もの大金入りの財布を拾った。この財布を巡って思いがけぬ長い一日が始まる。欲深い人間たち、真摯に生きる価値を描く。
230★「菜種晴れ」
安房勝山の菜種農家の末娘に生まれた二三は、5歳の時に江戸深川の油問屋に養女として貰われた。母親譲りのてんぷらの腕、持ち前の気丈さで、江戸の町に馴染んでゆく。大火事や安政大地震など苦難を乗り越えて逞しく成長していく物語。富岡八幡宮の祭りなど作者の地元深川の町を描き、車えび、青柳などのてんぷらの話はなんともいえない。
231★「だいこん」
江戸・浅草で一膳飯屋「だいこん」を営む若い娘・つばきとその家族の物語。腕のいい大工だが、博打好きの父・安治、夫を支える母・みのぶ、2人の妹さくらとかえで。飯炊きの技と抜きん出た商才を持ったつばきが、温かな家族や周囲の情深い人々の助けを借りながら、困難を乗り越え成長していく物語。前を見つめてまっすぐ突き進むぶれないつばき。

◆【山本兼一(やまもとけんいち)】
232★「とびきり屋見立て帖シリーズ」
時は幕末、将軍の上洛にわきたつ京の都で、真之介とゆずは道具屋を構えた。ゆずは名代の茶道具屋の愛娘。真之介はその店の奉公人だったが、駆け落ちして夫婦になった。いわくつきの御道具をさばき、新撰組や龍馬、高杉らと渡り合う。京都在住の作者が、学生時代にアルバイトで経験した古道具の世界をヒントに、茶道や華道の世界を。
233★「花鳥の夢」
狩野永徳の生涯を描く。室町末期から安土桃山の時代を代表する建築物の障壁画や屏風絵などを手掛けた狩野一門。あの安土城天主の障壁画も永徳。一門数百人を束ねる棟梁としての苦悩や、等伯への対抗心など。権力者たちの要請に応え「花鳥図襖絵」など、次々と新境地を拓いた天才画家・狩野永徳。芸術家の苦悩と歓喜を描く。
234★「修羅走る 関ヶ原」
全編を通し、関ヶ原の戦いの1日のみを描いた472頁にもおよぶ大作。合戦の歴史的な解釈はせず、その場に立ち、修羅とならざるを得なかった男たちの死生観を描くことに主眼を置いる。各武将の立場を時間経過とからませ、臨場感豊かに描いている点はさすが。時は慶長5年9月15日。昨夜来の雨は上がれど、濃霧が立ちこめる関ヶ原で。

◆【山本周五郎(やまもとしゅうごろう)】  
235★「明和絵暦」
宝暦事件に続き、明和4年(1767年)幕府による尊王論者弾圧事件・明和事件を扱ったもの。物語は上野小幡藩・織田家(信雄の系統)が舞台となっている。明和事件で幕府の謀反人とされた山県大弐の門下に、小幡藩の江戸家老・吉田玄蕃がいたことによる。周五郎作品なのになぜか取り上げられない、娯楽作品に徹し古風な表現も面白い。
236★「おごそかな渇き」
10の短編集。黒澤明脚本で寺尾聰、宮崎美子主演で映画化された《武芸の達人だが職につけない武士と妻》の「雨あがる」、市川崑監督で岸惠子主演で映画化された《5人の子供を育てる心温かい母親》の「かあちゃん」が含まれる。他に「蕭々十三年」「紅梅月毛」「野分」「将監さまの細みち」「鶴は帰りぬ」「あだこ」「もののけ」「おごそかな渇き」。
237★「山彦乙女」
徳川5代将軍綱吉の治世下、新御番の安倍半之助は、甲府勤番中に発狂して失踪した叔父の遺品を調べるうちに、不吉な謎を秘める甲州の「かんば沢」という地にたどりつく。どうやら武田氏再興を目論む一派が暗躍しているようだ。甲斐武田家ゆかりのみどう一族の乙女こと花世、そして4人の友人。この作家では珍しい伝奇ロマンの冒険譚である。

◆【夢枕獏(ゆめまくらばく)】     
238★「天海の秘宝 上下」
上巻はミステリアスな時代小説、下巻はSF小説。江戸に浪人として暮らすからくり師の堀河吉衛門は次々と起こる事件に疑問を持ち、親友の剣豪・病葉十三と真相究明に立ち上がるがった。地球は2043年に隕石が衝突して消滅する。それを回避するためにタイムマシンで過去に現れた者がいた。隕石の過去の地球接近時を狙って、質量を変えようと。
239★「大江戸釣客伝 上下」
最古の釣り指南書『何羨録』を著した津軽采女を中心に、釣り好きの世界と元禄の時代を描く。旗本、津軽采女は小普請組という閑職がゆえ、釣り三昧の日々を送っている。やがて、義父・吉良上野介の計らいで「生類憐れみの令」の将軍綱吉に仕えることになる。そして釣り船禁止令が出され、赤穂浪士の討ち入りで敬愛する義父・上野介を失い。

◆【吉川永青(よしかわながはる)】
240★「天下、なんぼや。」
江戸期における大阪の豪商・鴻池家の成り立ちと発展を綴った物語。戦国時代、尼子氏の家臣山中鹿之介の長男新六が遠縁を頼って鴻池村に住みつき、酒造りを始める。やがて江戸への回船を主導し、海運業・金融業でも大名貸しなど成功を収めていく。清酒製法の発見の経緯や著名人との交流など物語として面白く読むことができる。
241★「誉れの赤」
武田の山縣昌景率いる赤備え隊にいた成島勘五郎と飯沼藤太は、武田家滅亡後は家康の武田遺臣取り込みの策によって、井伊直政の赤備えに組み込まれた。物語はその後の関ヶ原までが描かれる。武田家の赤備えの組織や機能について詳述しており、兵の精神性を強調した興味深い内容。武田軍の兵の強さもこれによって窺える。
242★「化け札」
化け札とはジョーカーのこと。当時ポルトガル人が遊びや賭けに使う紙の札を模して、日本で作られた「天正加留多」の中にある、何とも不気味な幽霊が描かれていたという。相手を化かす切り札に、表裏の者と呼ばれた真田昌幸の謀略を重ねている。武田勝頼の最後の時代から徳川による第1次真田攻めまでを描いている。
243★「悪名残すとも」
中国地方の守護・大内家の家老筆頭だった陶晴賢の半生を安芸の雄・毛利元就との絡みで描いていく。物語は山陰の尼子軍による安芸吉田郡山城攻防戦に始まる。晴賢はわずか20歳で、大内軍1万を率い、尼子軍を敗退させた(吉田郡山城の戦い)。その後、覇気を失った大内義隆を排除し、傀儡政権を立てるのだが・・・。
244★「治部の礎」
物語は備中高松城の水攻めの場面から始まる。石田三成の視点で関ヶ原の敗戦までを描く。対北条戦での忍城攻めで、秀吉の命で水攻め策を採るが、本人は地形的に無理と・・・。日本国を統一するということはどういうことか、お手本の無い状態で全国の検地や刀狩りなどを実施していく。港の重要性を認識し、堺や博多などを管理下におく。
245★「海道の修羅」
今川義元の生涯。18歳で兄2人(氏輝、彦五郎)を毒殺し、今川家の当主に就いた義元、師であり軍師であった雪斎和尚と二人三脚で修羅道を歩む。福島一族の粛清、井伊一族への過酷な使役、三河松平衆への搾取など長期の展望に基づいた策謀として語られる。事故のような桶狭間、義元は決して軟弱な武士ではなかった。研究の進む注目の人。

《続く》                     

コメント

ソババッケさん

2019年02月01日 11:39

《続き》

◆【吉村昭(よしむらあきら)】    
246★「冬の鷹」
解体新書といえば杉田玄白の名が有名。だが実際に西洋の解剖書『ターヘル・アナトミア』を苦心惨憺して翻訳したのは、主として中津藩の医師前野家の養子であった前野良沢だ。だが、訳者前野良沢の名は記されていない。わが国近代医学の礎を築いた画期的偉業、「解体新書」成立の過程を克明に再現していく物語。2018年NHK正月時代劇も。

◆【隆慶一郎(りゅう けいいちろう)】   
247★「影武者徳川家康 上下」
家康は関ケ原で暗殺された。その死が洩れると士気に影響し、徳川家による天下統一もなくなる。徳川陣営は苦肉の策で、影武者・世良田二郎三郎を家康に仕立てた。しかし、この影武者は只者ではなかった。10年の影武者生活で家康の兵法や思考法まで身につけていたのだ。秀忠による政権が確立すれば影武者は不要となり、生命の保証もない。

◆【渡辺房男(わたなべふさお)】 
248★「金目銀目五万両」
慶応4(1868)年5月、大坂蔵屋敷の臼杵藩勘定役・久野喜三郎に突然の銀目停止(金本位に統一)の太政官布告が届く。更に過去の借財は最終銀相場(1両が銀219匁)での金換算でと。これだと臼杵藩の借財は5万両減る(銀の価値は急落していた)。だが最終的に1両が銀102匁でという妥協案が。維新の裏には為替に関する混乱もあった。

【輪渡颯介(わたりそうすけ)】
249★「古道具屋 皆塵堂シリーズ」
浅草阿部川町の道具屋「銀杏屋」の跡取りの太一郎は父親の重松から修行のために、深川の亀久橋そばの皆塵堂という古道具屋に出ることに。主の、伊平次は釣り好き。小僧の峰吉はしっかりもの。鮪助(しびすけ)という猫。皆塵堂の地主の清左衛門、幼馴染の魚売りの巳之助がからみ賑やかだが、曰くつきの道具に憑いている物の怪や幽霊が。

◆【和田竜(わだりょう)】
250★「村上海賊の娘 上下」
村上武吉の娘・景(きょう)は20歳、身の丈6尺、鼻梁は鷲の嘴のごとく鋭く高い。悍婦にして醜女との噂に嫁の貰い手がない。安芸国高崎の門徒衆を助けたことで天王寺砦の戦いに遭遇。更には毛利家の本願寺への兵糧入れに参加して船戦での死闘を。村上海賊の能島、因島、来島の組織、帆別銭徴収のしくみ、航法、操船技術など興味深い。