〝パリ国立歌劇場の『イーゴリ公』〟

 パリ国立歌劇場では、ボロディンの『イーゴリ公』が初めて上演された(11月28日~12月26日:バスティーユ)。習慣通り第3幕は省略されたが、第3幕から「イーゴリ公のモノローグ」を抜粋し第4幕に挿入したほか、序曲は第4幕の前に演奏された。

 新演出を手がけたのはバリー・コスキー。舞台を現代へと移し替え、「1人のリーダーの失敗」によって街を失い彷徨うことになった難民たちが描かれた。ガーリチ公や取り巻きたちも原作より暴力的、地下に捕虜を閉じ込め拷問するコンチャクも原作とは異なり残虐で、生々しい現代の紛争を彷彿とさせた。
 最終幕は、自らを許せず去っていくイ