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よくあるご質問

「懐かしい名作探しの旅」・作品の紹介や思い出大募集ー3

往年の作品にはその時代に生きた映画人達の「匠」とも言える心意気を感じる名画が多かったように思えます。

最近の作品に多く見受けられる映像効果だけを狙ったような煩雑なCGに頼らず、制作者達の知恵と工夫や映画魂が作品の隅々まで息づいていたものです。
また作品のテンポもゆったりと流れ物語もシンプルであり、今思えばそれが心地良い時間を与えてくれました。

あの時代の幾多の傑作、話題作、力作を改めてここでご紹介してみたい。
また好きな作品の思い出を語り、まつわるエピソードをご披露してみてはいかが。
最近ご覧になった往年の映画のご紹介も勿論歓迎いたします。

長文・短文を問いません。
どうぞお気軽にコメントをお寄せ下さい。
*過去に一度ならず上がった作品との重複も大歓迎いたします。

さあご一緒に「懐かしい名作探しの旅」に出かけましょう。

コメント

風かおるさん

2017年01月26日 10:03

ト〜ドちゃん
「白い恐怖」の詳しいお話をありがとうございました。

ヒッチ監督は観客を楽しませたり煙に巻いたりして、にやっと自分も楽しんでいる気がします。
ハラハラドキドキのサスペンス映画にも、どこかヌボー然としてユーモアがあるでしょう?
これもヒチコック魔術とでも言うのでしょうか。
もうこの様な監督は出てこない気がします。

彼が作った作品を沢山ご覧になってみてはいかが?
一人の監督の映画を続けて鑑賞するのもお奨めですよ。

*このトピも100コメを越したので新しく更新しますね。

ト〜ドちゃんさん

2017年01月26日 06:56

追記
ヒッチコックの「白い恐怖」について。
この作品はとにかく先が見えそうで見えません。予想外の展開に観客はハラハラ・
ドキドキします。最後は真犯人が拳銃を自分に向け引き金を引きます。
なぜか、観客(私)は、ストーリーに引き込まれてしまいました。
そこら辺が、面白かったです。

ト〜ドちゃんさん

2017年01月26日 00:20

グレゴリー・ペックが妙に、縞模様にでくわすと病的になってしまいます。
グレゴリー・ペックにイングリッド・バーグマンは一目惚れしてしまいます。
その後、グレゴリー・ペックは、自分が精神科医を殺したはずだと思い込み
一人で旅にでます。結局はグレゴリー・ペックは記憶喪失だったので、精神科医
であるイングリッド・バーグマンがニューヨークまで彼を追いかけ、彼の夢判断をして、彼は殺人は犯しておらず幼少の頃誤って単なる事故で弟?を死に追いやったことが原因で、それに対する罪悪感が原因だったことが判明して、一件落着でした。
イングリッド・バーグマンは、恋愛と精神科医の二つの顔を持つことになり、かなり
一人で悩んでいました。とにかく、白黒でしたが、興味深い作品でした。

風かおるさん

2017年01月25日 23:13

ト〜ドちゃん
ヒッチ監督の「白い恐怖」はなかなか楽しめる作品でしょう。
特に大きな波乱があるわけではないけれど、ずんずんとヒッチ監督の世界に引き込めれてしまう。
彼が作る作品は語り口が本当に上手だと思います。
時々思わせぶりが過ぎて肩透かしを食わされることがありますが。

もう相当前に観た作品なので、あまり記憶がないのですが、どんなところが面白かったのでしょう。

ト〜ドちゃんさん

2017年01月25日 22:12

ヒッチコックの「白い恐怖」(1945年;アメリカ)をDVD鑑賞しました。
イングリッド・バーグマンとグレゴリー・ペックの共演。
面白かったです。

風かおるさん

2016年12月17日 13:36

「砂の器」1974年・松竹

ハンセン氏病(らい病)患者の父が周りから追われ、息子と長い旅に出る。
旅というより冷たく無慈悲な風に翻弄されながら日本の各地を彷徨歩くというのが正しいのだろうか。
やがて時はめぐり東京・蒲田のJR操車場際で元警官が殺された。
すぐさま捜査本部がおかれ刑事達の懸命な努力が実を結び、徐々に犯人の姿が浮かび上がってくる・・・。

皆さんご存知のように松本清張原作「砂の器」の粗筋です。
封切当時に映画館で鑑賞しその後何度も観た作品ですが、過日「午前十時の映画祭7」で久しぶりにスクリーンで観ることが出来ました。

年齢を重ねるとものの見方や感じ方が変化するとよく言われますが、今回も同様に新しいことに気づき、また異なる視点・観点で作品を味わうことができたと思います。

二時間半ほどの長さの「砂の器」ですが、前半で描いているのは殺人事件の発生から警察側の犯人を割り出すまでにほぼ終始。
後半は親子の流離の旅および成人した和賀英良が栄光の世界へ真っしぐらに進む姿が描かれていき、この二つの流れが絶妙に混じり合いドラマティックな結末を迎えることになります。

野村芳太郎監督の大胆な構成と演出・編集の冴えでしょうか、原作を上回る出来栄えの映画に仕上がってますね。
原作者に「原作を超えた映画」と言わしめたそうですが、メディアの違いを改めて実感させてくれた映画化でした。

印象に残っていた名場面もデジタル・リマスター化された映像で、また再び鮮烈さが浮かび上がってきたものです。
例えば流浪の中で親子が交わす幾多の情愛など。

同年代の生徒達が楽しげに校庭で遊ぶ姿をじっと見つめる息子、周りには満開の桜が咲き誇っているのですね。

療養のため汽車で移動する父に会いたいがために線路を懸命に走る息子。
長回しで彼を追うカメラが色々と語ってくれました。

捜査の手が迫り、刑事が成長した息子の写真を見せると父は「おら知らねえ〜、こんな男は!知らねえ〜!」と絶叫。
父の覚悟したような心根は観るものの胸をかきむしってくれたのではないでしょうか。

育てると決心した警官夫婦が息子を風呂に入れるシーンがありましたね。
満面の笑みを浮かべながら子供の頭を洗ってあげる警官、傍には細君の微笑む姿。
未だ二人はとても幸せでした。
しかし後に大きな不幸が彼を襲うことになるとは・・・。

そしていつまでも忘れられないエンディングで映画は幕が閉じるのです。
絶頂の幸せを感じながら得意満面でピアノを弾く和賀英良。
辛かった少年時代、楽しかった父との触れ合いなど、彼の脳裏には過去の数々の思い出が去来したことでしょう。

また一方、恋人への致命的な裏切りと成功への踏み台にした実力者の令嬢との婚約。
直ぐそこに迫る捜査陣を知る由もない和賀英良ですが、どんな想いを曲にのせたのでしょうか。
曲名は「宿命」という実に皮肉なものでしたね。

芥川也寸志の手による「宿命」の格調の高さ、主人公を熱演した加藤剛の感じさせる「品の良さ」。
二人がこの作品に深い厚みを加えたのは間違えないことでしょう。

風かおるさん

2016年05月27日 15:52

「雨あがる」2000年製作
監督:小泉堯史 出演:寺尾聰 宮崎美子 三船史郎 檀ふみ 井川比佐志 原田美枝子 仲代達矢他

黒澤監督が脚本を執筆半ばで逝去、暫し映画化の道が途絶えていましたが、息子の黒澤久雄の熱望に応えた小泉堯史がメガフォンをとったという、大好きな時代劇の一つ。
小泉堯史は長年の間、黒澤監督の助手を務めており、当作品の脚本助手としても関わっていたそうです。

仕官の道を求めて江戸へ向かう三沢伊兵衛(寺尾聰)と妻のたよ(宮崎美子)。
しかし季節柄、連日の雨で川越が出来ず宿場町での長逗留を余儀なくされてしまうのですね。
疲れと苛立ちが宿場町を覆い、小競り合いが絶えない人々でした。
思いあぐんだ伊兵衛は、ついにご法度の賭け試合を計り思いの外の大金を手にします。
その金を元に人々は大宴会を催して疲れを取り、活力を取り戻すのでした。

やがて伊兵衛にまたとない仕官の口がかかり、夫婦も人々も大喜び。
当藩大名が彼の件の技量と人物に大いに惚れ込むのでした。

しかし「賭け試合」の件が災いし、藩の重臣が殿様に異論を唱えることとなり、仕官の話は破段となってしまうのでした。

待ちかねた夫婦の元を訪ねた重臣と従者はしかつめらしく、破談の理由を告げ、引き上げようとした際に、妻のたよが凛と放つ言葉が何とも印象的でありました。

「あなた達もお殿様もわからずやです、何をしたかではなく誰の為にしたかが大切ではないでしょうか」

雨も上がり爽やかな初夏の日差しの中、仲良く二人は再び街道を辿り始めるのでした。
一方たよの言葉を聞いた殿様。馬鹿じゃないのですね。
馬に乗り家来を連れて、二里ほど先を行く二人を躍起と追いかけ始めるのです。

ハッピーエンドの予感を観客に感じさせながら、ここで映画が終わります。
敢えて感動場面を画面に映さずに。

黒澤監督好みの、これも憎い演出でした。

hideziiさん

2016年05月11日 18:10

今、youtubeに山本嘉次郎監督の「綴り方教室」や「馬」があるようです。

近日中に鑑賞の予定です。

ト〜ドちゃんさん

2016年05月11日 16:46

風かおるさん

承知しました。
私のトピックと風かおるさんのトピックは、同時進行という事ですね。

助言、ありがとうございました。

風かおるさん

2016年05月11日 09:12

ト〜ドちゃん
過去のトピを遡り、多くの話題を読んで下さったんですね。
ありがとうございました、またその真摯な情熱にも感謝させてください。

そう、お分かりのように、色んなトピがあり、各々に沢山の話題が含まれております。
当コミュの本質と性格を理解するには、ご面倒でも過去のトピを読んでいただくのが一番だと思いますよ。

>このトピックに私の作成したトピック「アメリカの映画をどうぞ・・・」
が含まれてしまいそうですが、どうしたものでしょうか?

とのことですが、ト〜ドちゃんのトピはそのままにどうぞお続けください。
トピの性格はとても似通った面が多いと思いますが、ここでは全ての作品を包括していますし、「アメリカ映画」だけのトピも、それなりの存在意義を感じます。

またト〜ドちゃんなりの方向づけや味付けも楽しみでありますので。

ト〜ドちゃんさん

2016年05月10日 23:31

過去のトピックを調べていたら、この<「懐かしい名作探しの旅」・作品の紹介や思い出大募集-3>
というトピックを見つけました。
このトピックに私の作成したトピック「アメリカの映画をどうぞ・・・」
が含まれてしまいそうですが、どうしたものでしょうか?

風かおるさん

2015年10月21日 00:57

「長い灰色の線:The Long Gray Line」
1955年度公開・アメリカ作品

監督:ジョン・フォード 
出演:タイロン・パワー(マーティ・マー) モーリン・オハラ(メアリー・オドンネル、後のマーティの細君) ワード・ボンド(マーティーの上官) ドナルド・クリスプ(マーティーの父)

青雲の志を抱き、故郷アイルランドから新天地アメリカへやってきたマーティ・マー。
1900年代初頭の頃だった。
昨日NYに着いたばかりの若者が向かう先はウエストポイント陸軍士官学校。
晴れ渡った日差しの中、新しい職場への期待に溢れる彼の足は軽やかだ。

彼の勤めは同年代の士官候補生達への給仕から始まる。
大ホールで摂る若者たちの食事光景は賑やかで盛大であり、けたたましいほどの食欲だ。
各テーブルの間を縫うように料理や飲み物を運ぶマーティー、だがどうも危なっかしい。
滑ったりよろけたり、皿を割ったりと日々失敗の連続であり、週末の僅かな給料も割った食器代となり消えていく。

勤勉さと心意気の熱さを上官に見込まれたマーティーは、やがて士官学校の体育助手として働くことになったものの、ボクシングや水泳の授業にも失敗ばかり。
しかし彼の人柄によるものなのか、持ち前の負けん気で続ける努力が人の胸をうつのか、士官候補生の間でマーティーは人気者、友達も増えていった。

ある日電撃的に一人の美しい娘と出会う。
赤毛と緑色の瞳が印象的なアイリッシュ生まれのメアリーという名だ。
速攻で彼女の心をものにしたマーティー、生涯の伴侶を得た勢いで故郷から父と弟をともに住もうと呼び寄せるのだった。

J・フォード監督は心の故郷であるアイルランドを好んで題材に使った映画を作りました。
典型的な作品は「静かなる男」であり、戦前の「男の敵」はアイルランド独立戦争にまつわる作品でした。また「西部劇の神様」と呼ばれた彼が作った作品の多くにはアイルランド系の俳優が出演し「フォード一家」の名を自由にし、西部劇中にもアイリッシュ系の美しい旋律の曲がよく登場していましたね。

「長い灰色の線」はマーティン・マーの出世物語ではなく、ある男の半生を情感豊かに歌いあげた、暖かさとウイットに包まれた人生ドラマといえるのではないでしょうか。
決して派手でなく、いぶし銀の光を感じさせる名作だと思います。

いかにも二枚目然とした役が得意だったT・パワーがのびのびとドジな役柄を演じ、勝ち気な中にも気品を感じさせるM・オハラはまさに適役。大きなショールを翻しながらマーティーに逢うシーンは大変印象的でありました。

エンディングは辞職命令の撤回を求めて旧友の大統領に直談判、晴れてウエストポイントに戻った老軍曹マーティン・マーを迎える全隊員の大分列式(士官候補生の制服が灰色)です。
勤続50年の数々の想いがこみ上げてくるのでしょう、白髪交じりの彼は思わず目に涙を滲ませておりました。

風かおるさん

2015年07月29日 14:35

白イルカさん、先ほどもう一度「人情紙風船」を見直しましたが、例により面白さがぐっと増えました。
聞き漏らしていたセリフには味があり、見落としていたシーンが案外重要だったりと、映画の「見直し」はいいものです。

一計を案じた新三は白子屋の娘のお駒を軟禁。
暫くすると弥太五郎たちがやってきて返せと迫るが、相手にしない。
すると「五両」出すという弥太五郎に浴びせるように、「金の問題じゃねえ、とっとと帰れ!」。

一味が手出しが出来ないと読み切ったとはいえ、胸のすくようなシーンがたたみ込まれるように続きますね。

そのうち大家は白子屋へ出かけ、しっかり五十両をもせしめてくる。
自慢たらしく新三にいきさつを話し、自分の取り分をねだり強要しますが、「金の問題じゃねえ、意地の問題だ」と、とんと取り合わない新三。
結局は長屋あげてのドンチャン宴会になるのでした。

宴の最中、仕官をほぼ諦めた浪人の海野が呟くセリフ、「そうか、あの毛利殿が大家殿に頭を下げたか・・・」。
まさに意を得たりの表情が印象的でした。

するとそこへ弥太五郎から呼び出しがかかります。
瞬時に全てを悟る新三ですが、何事もなかったように出かけるんですね。

「ちょっくら用事ができたんで、出かけてくるけどすぐ戻る、皆んなでやっててくれ、なあに心配は要らねえから」、と言い残して。

ところで浪人のご内儀が内職で作る紙風船が劇中に二度ほど象徴的に出てきましたね。
う〜ん、好みの問題ですが、少し説明的というか蛇足と感じてしまいました。

>結局、一番生きぬくいのは武士の社会だったのでしょうか。

山中貞雄の言いたかった大きな一つだと思います。
建前や意地やしきたり。
昭和10年代だからこそ、強いメッセージ性を感じました。

白イルカさん

2015年07月29日 13:29

「人情紙風船」
私も、もう一度最初から観てみました。

町人も落ちぶれた武士も、みんなが長屋住まい。
隔てるのは薄い壁一枚、情報も筒抜けです。
またお隣とは縁側でつながって、行き来自由(笑)

お話は老武士の自殺から始まり、同じ武士夫婦の心中で
終わる決して明るいお話ではありませんね。

でも、独特のテンポのよさがあり、あまり落ち込む
暇もない内に終わったような気がします。
これは山中貞雄監督の手腕でしょうね。

結局、一番生きぬくいのは武士の社会だったのでしょうか。
仕官を望みながらも果たせなかった男、その妻の物言いの
冷たさにはぞっとしました。あれでも愛情はあったのでしょうね。

もう一人の主人公の髪結いの新三は、宵越しの金は
持たない江戸っ子町人代表のような若者ですね。

>江戸っ子の良い所、おっちょこちょいで気が短く、
楽天的で義侠心が強く、人情に厚い

すべて、まひるさんが書いてくださっています^^
最後は人の揉め事に巻き込まれて、命を落としたと思わせる
ラストシーンでした。これも監督の意向なんでしょうか。

風かおるさん

2015年07月28日 23:20

おお、まひるさん
やはり「人情紙風船」をご覧になってましたね。
京都で生まれ育った山中貞雄は密かに「江戸っ子」に憧れていたのかも知れません。

いつの間にか時代劇の大御所、嵐寛寿郎に見込まれた山中貞雄はアラカンに言わせると、”ヌボーッとしていて、一見とらえどころのない男やったけど、義理人情には厚かった”とか、”天性のユーモリスト、若いのに包容力のある、おおけな人柄やった”そうです。

アラカンプロで脚本、助監督、監督を任され始めた彼ですが、「鞍馬天狗」や「むっつり右門」を手がけたらしく、子供の頃見に行ったこのチャンバラたち、そういえば確かに愉快・痛快な作品でした。

彼が監督を務めた作品は全26本だとのこと。
もっとも現存する作品は「人情紙風船」「丹下左膳・百万両の壺」「河内山宗俊」の三本だけ。
後ほど残りの二本を見る予定です。

まひるさん

2015年07月28日 22:37

風かおるさん、こんばんは。

「人情紙風船」は一度観たきりなのでうろ覚えなのですが、仰るように生粋の江戸っ子の主人公が妙に粋で鯔背な作品でしたね。
江戸っ子の良い所、おっちょこちょいで気が短く、楽天的で義侠心が強く、人情に厚い所を煮詰めて手足をくっつけたのが主人公の新三だったように思えます。

山中監督は正に新三のような人間でありたいと思っていたのかも知れませんね。
山中監督の作品では他には「河内山宗俊」「丹下左膳・百万両の壺」しか観ていないのですが、主人公に相通じるものがあるようにも思えました。

風かおるさん

2015年07月28日 08:23

白イルカさん
コメントをありがとうございます。

もう直ぐ8月、70回目の「終戦記念日」がやって来ますね。
広島や長崎への原爆投下、沖縄での地上戦、また玉音放送、他にも戦争戦争に纏わる話題がいろいろとジャーナリズムを賑わすこの時期、将来の可能性を断絶させられてしまった故山中貞雄氏の遺作を取り上げました。

名前だけが先行し、実際彼のことはあまりよく知りませんでした。
少し調べるとなかなかの英才だったようです。
数々の映画関係者が高評価し、F・トリフォーも絶賛したというこの人物。
社会を見つめる視点の面白さと鋭さ、独特の映像構成など。
彼に新しい作品をもっとたくさん作って欲しかったですね。

白イルカさん

2015年07月28日 07:45

風かおるさん

「人情紙風船」 山中貞雄監督の遺作 
以前YouTubeで教えて頂いた作品ですね。

もう、小さいところは覚えていないので、もう一度
見直してみたいと思います。

戦争は多くの若い才能まで奪ってしまう、胸が痛みます。

風かおるさん

2015年07月27日 22:07

「人情紙風船」
昭和12年 P.C.L.映画製作 前進座及びP.C.Lの俳優たち

当時若き天才と呼ばれた山中貞雄の遺作となった作品です。

舞台は江戸の貧乏棟割長屋。
山中監督は庶民の喜怒哀楽の一端を描きながらも、ひとりの若者の姿に「権力への反骨」を重ね合わせ、軽妙な比喩を駆使して創り上げたこの作品を通じ、あの時代の「権力」に一泡吹かせたかったのでしょう。
未完ながらも彼の鋭い感性と強いメッセージ性が鮮やかな作品でした。

戦争前夜のきな臭い時代。
反体制的メッセージの色濃い当作品を手がけたためなのか、彼は戦地へ飛ばされやがて病に罹り早逝しました。
なお、監督のもとに召集令状が届いたのは「人情紙風船」の封切り初日だったようです。

髪結いの新三(しんざ:中村翫右衛門)は賭博場のいざこざから、ヤクザの弥太五郎源七一家と対立していた。
金持ち質屋の白子屋は弥太五郎の後ろ盾であり、また武家の毛利三左衛門とも親密な関係を保ち、この毛利も己の更なる出世のために白子屋の娘のお駒(霧立のぼる)を利用しようとしていた。

一方、同じ長屋に夫婦共々住む浪人の海野(河原崎長十郎)は仕官を渇望していた。
亡父の旧友であった毛利のもとへ日参、何度も頭を下げるけんもほろろ、叶わない。
でも必死な海野は愚直にも相変わらず毛利を追いかけている。

「暴力」と「金力」と「権力」。
弱者の新三と海野はいつの間にか関わり合い、やがて三つの強い「力」に対峙していく。
しかし悲しい結末が待っていた・・・。

題名からは軽い人情話の作品を想像していましたが、意外にテーマは重くメッセージは深く、物語は見るものにあれこれ考えさせてくれました。

でも物語は別にして、新三が実にカッコいいんですよ。

人情を尊び、信と義を大切に、男気のある胆力と啖呵、機転と度胸、粋な立ち居振る舞い。そして妙に腰が低いんですね。
まさに江戸っ子の一つの典型とも見えました。
山中貞雄は自分の分身をこの新三に託して表現したかったのでしょうか。

既に70数年前の作品ですから、リズムもテンポも少々古臭さを感じますが、心に残る佳品でありました。

YouTubeに当作品のフルムービー・デジタル版が載っています。
音声映像とも不鮮明なレンタルDVDよりずっとクオリティが上でした。
https://www.youtube.com/watch?v=tT9QXJNJ1xQ


昭和50年代の京都を舞台にした、大の映画ファンの京大生仲良し3人組が登場する、浅田次郎著「活動寫眞の女」という面白い小説がありますが、この作品の影の主役とも言える大部屋女優の伏見夕霞(幽霊)は「人情紙風船」で白子屋の娘・お駒を演じたという役回りになっています。

今から約80年前の太秦時代のエピソードを挟みながら、「映画」を主軸にした「活動寫眞の女」、これもお薦めですよ。
儚さと美しさが漂う往年の女優が、幽霊となって現れて京大生に恋をする。
いかにも映画好きの浅田次郎らしいアイデアです。

風かおるさん

2015年07月14日 23:47

寅次郎「ハイビスカスの花」
1980年製作、寅さんシリーズの25作目でありリリー三部作の完結篇でもありました。

久しぶりに柴又へ帰ってきた寅さんですが、突然の里帰りは間が悪く、例によって腹を立て家を飛び出そうとした時に一通の手紙が届きます。
沖縄に巡業中のリリーさんからのもので病で倒れたとのこと。

慌てて沖縄に向かおうとする寅さんを引き止めるさくらちゃん。
沖縄が何処にあるか、どうやっていけば良いか、病院名は?
いつもながらの素っ頓狂ぶりが笑わせてくれます。

さて、飛行機で出かけるしかないと説得された寅さんですが、飛行機が大嫌い。
羽田空港で街路灯にかじりつき、嫌だ嫌だ!と駄々をこねるんですね。
困り果てて寅屋にtelする博ですが、そこへ通りかかったスッチー(古い?)の一団。

事情を聞き、「あら、私たち毎日飛行機に乗ってます。さあ一緒に沖縄へ行きましょう〜」
彼女達のこの一言で、スキップしながら空港入り口に向かう我らの寅さんでした。

沖縄の空はあくまで青く、ハイビスカスの花が百花繚乱で似合うものですね。
砂浜でのエイサーや、昔ながらの琉球家屋風景、素潜りの海中の透明度の深さなど
沖縄の見どころを随所に挟みながら物語が進みますが、一番はやはり寅さんとリリーさんの微妙な重なりとずれを含む二人の情愛の深さだと思います。

「ハイビスカスの花」の詳しくは数年前に挙げた日記をご参照頂きたいのですが、二人のぴったり息のあったセリフのやり取りは台本と渥美清、浅丘ルリ子の熱演の賜物だと思います。

日記でも触れましたが、寅さんが心底惚れたのも、また寅さんと所帯を持とうと思ったマドンナも、リリーさんだけだったのでしょう。

寅さんシリーズは48作品なのですが、実は「ハイビスカスの花 特別編」なるものがあるんですね。

渥美清さんがプイと長の旅にたった翌年の1997年に、山田洋二監督が「ハイビスカスの花」に手を加えて公開したのがこの作品です。

主題歌を八代亜紀が歌ったり、旅先で大きくなった満男君(久しぶりに吉岡秀隆演)が寅さんに一瞬出会ったりと(特殊技術で再現)、寅さんファンの熱い気持ちに応じた山田監督が、”寅さんカンバーック!”と叫んでいるような密度の濃い第49作でした。

もし宜しかったら↓過去の日記です。
http://smcb.jp/_ps01?post_id=2766837&oid=142897