逝きました

或る病院に毎日通ってくる少女がいた
入院していた母の看病に来ていたのでした

病気は一行に良くならずとうとう逝ってしまいました
優しかった母が何で、と欝に陥って逝くばかりでした

然れど母は生きている等と妄想に落ちるのです
少女は病院へ行けば母に会える等と思い
何日も待合室で座っていた

「どうしたの、忘れ物」と看護婦は尋ねる
首をうな垂れ無言のまま涙を浮かべている
「あの~母は」と尋ねた

「えッ、あなたの母さんは」と言いかけたが少女は
廊下を走り母の病室へ入っていった

そして嬉しそうに誰かと抱き合って話していた
何も言えず暫く見待っていたけど「時間