指先

手を重ねた
しかも柔らかい手
君の移り香が残っている
その細い指が示す先
宙を切るように暗闇を探る
虚ろな影が瞬く間に消え
桜の花びらがただ舞い上がる
もつれ合うみたいに絡めた手
淡い影の正体も分からずに
そっと五指が解かれる
こぼれ落ちた花びらひとつ
開かれた手には残らない
さくら色に染められた君の指先