孤独の人生?

村上春樹『レキシントンの幽霊』の中の「トニー滝谷」:

 これは その晩年を孤独に過ごした滝谷省三郎とトニー滝谷という父と子の話である
 滝谷省三郎は 戦前はナイトクラブなどでトロンボーンを吹いていた男である 日中戦争が終わるころ上海にいたが、中国軍につかまって刑務所につながれた ほとんどの男は銃殺されたが、希しくも生きて日本に帰ることができた
 帰国後、ジャズバンドを結成して米軍基地まわりをしていた アメリカ軍の少佐に気に入られて 生活は順調だった そのころ母方の遠縁にあたる娘と結婚した そして息子が生まれたが、妻は出産後 三日後に亡くなった 血のつな