大歌人、坂上郎女と藤原麻呂の恋。…素浪人の『万葉集漫談』(138)

(138) 留(とど)めえぬ 命にしあれば 敷栲(しきたへ)の
           家ゆは出てて 雲隠りにき
    巻三・461 大伴坂上郎女(さかのうえのいらつめ)

大意; 人のいのちは 引き留めることもできず ああ、
(理願様は)、住み慣れたわが家を後にして、遠い雲の彼方へと旅立ちされてしまった。

解説:「遠い新羅の国から日本の国にお越しになって、身寄りもなく、一人わが大伴家に身を寄せていらした、新羅の尼、理願さまが急に亡くなられて…」巻3・460という、尼を悼む郎女の心にしみる長歌があってその反歌です。735年(天平7)のことでした。
大伴