素浪人の『万葉集漫談』(139)

(139) 織女(たなばた)し 船乗りすらし 真澄(まそ)鏡
       清き月(つく)夜に 雲立ちわたる
           巻十七・3,900 大伴家持
大意・ 今しも、織女が船に乗ろうとしてるのしょうか。澄みきった鏡のように清らかな月夜を雲が立ち渡っています。

解説・ いよいよ天平10年(738)です。藤原氏に抑え込まれていた大伴氏も、橘諸兄がこの年1月に右大臣になり、ようやく愁眉を開く思いだったのでしょうか。家持の七夕歌にも、そうした雰囲気が漂います。
七夕歌は『万葉集』には130首も詠まれ、その中、巻10には98首も収録されます。日本では