教養、そしてユマニストとは

渡辺一夫著『人間模索』、同著『僕の手帖』いずれも講談社学術文庫、読了。
 前書は1946年から49年にかけて、郵政省職員組合の求めに応じて書かれた文を補筆して「人間論」として発刊、51年9月に講談社学術文庫に収められたものである。戦後、「ヒューマニズム」とか「文化」についての関心の高まりに、著者はもとより知識人は原稿を求められることが多かったのであろう。
 その中に、「教養について」とある。
 《 「教養がある」ということは、「他人を困らせないこと、窮地に陥れないこと」「思いやりがあること」ではなかろうか。(中略)あくまで他人を信じ、理性と言葉という人間