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よくあるご質問

「だったん人の踊り」は、誤訳

昨日、土曜日は3時からコンサートホールで札幌交響楽団の名曲シリーズ「踊るスラヴの旅」に行って来た。
 首席客演指揮者のラドミル・エリシュカさん指揮で、スメタナ「売られた花嫁・より三つの舞曲」、ムソルグスキー「交響詩・禿山の一夜」、リムスキーコルサコフ「スペイン奇想曲」、ドヴォルジャーク「スラヴ舞曲集」、ボロディン「歌劇イーゴリ公より「だったん人の踊り」(ポロヴェッツ人の踊り)で、いずれもポピュラーな曲で満席であった。そのうちの何割かは、エリシュカさんだからという人たちだと思う。
 とても79歳とは思えない若々しい指揮をされる。チェコ共和国ズデーデンのお生まれで、大戦前後は随分ご苦労されたのだろうなと勝手な想像もする。
 今日のこのいい演奏は「私ではない、オケがいいからだ」と、演奏後に全身で示される姿を観客が感じ取り、その謙虚で礼儀正しいお人柄に心からのファンになってしまうのだ。
 日本では昔から「だったん人の踊り」と呼ばれてきたが、韃靼人とポロヴェッツ人は同じ遊牧民であっても、厳密には異なる民族であるため、近年は、「ポロヴェッツ人の踊り」との呼称が使われるということも、今回初めて知った。
 コンサートホールを出てから地下鉄の駅までは、木々に灯された電飾と中島公園内の池を横に見ながら、ゆるやかに曲がりくねった道を足元の灯の光に導かれて進むことになる。
 演奏の余韻に浸りながら自然の中を散策する感じで家路に、あるいはレストランに向かう人もいるのだろう。
 私は6時からもうひとつの合唱団の練習に向かった。
 指揮者は私より1歳下で、法務技官として少年鑑別所や刑務所の所長を歴任して定年退職した。配られた楽譜は、最近の青島広志編曲の西條八十訳、草川信作曲の「風」であった。
 小学校のときの教科書に載っていて、「私が好きだったから、持ってきました」と言う。その理由が、子どもながらに「三拍子であったことと、詩を読んでなるほどと思ったから」と。
 自分の小学校時代のことを思うと、さすが指揮者は違うなと感じ入った。それにしてもこの歌を知っていたのは、年齢層も近いのに指揮者と私だけであったことについても愕然とした。

Who has seen the wind?  誰が風を見たのでしょう?
Neither I nor you;   誰も見たことありません
But When the leaves hang trembling   
                 でも木の葉が囁くとき
The wind is passing thro`.  風は通り過ぎていく

Who has seen the wind?   誰が風を見たのでしょう?
Neither you nor I;   誰も見たことありません
But when the trees bow down their heads
                でも枝がお辞儀をするとき
The wind is passing by   風は通り過ぎていく

http://www.youtube.com/watch?v=mhSvrv0sSHs

 これはイギリス・ヴィクトリア朝の女流詩人クリスティーナ・ロセッティの詩で、画家・詩人として有名なダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの妹でもある。英国国教会の熱心な信者で、そのため彼女の婚約者がローマン・カトリックに帰依したとき、結婚を断念した。  
 幼い頃から肺を患っていて、病気のため家庭内に引きこもることが多かったという。次のような詩もある。

重いものはなんでしょう? 海辺のすなと悲しみ。
短いものはなんでしょう? 今日と明日。
はかないものはなんでしょう? 春の花と若さ。
深いものはなんでしょう? 海原と真実。 

 写真左の2枚は兄の描いた絵であるが、クリスティーナは同時代のラファエル前派や兄のモデルをしたというので、どことなくクリスティーナに雰囲気が似ている。

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