民心が離れた時代もあった聖武天皇。…素浪人の『万葉集漫談』(140)

(140)今しらす 久邇(くに)の都に 妹に逢はず
      久しくなりぬ 行きてはや見な
           巻四.768  大伴家持
大意・ 新しく天皇が治めますこの久邇の都の地にお仕えして久しく貴女にも逢えないでいます。奈良を訪れて早くお会いしたいなぁ。
(140’)ひさかたの 雨の降る日を ただひとり
      山辺に居れば いぶせくありけり
           巻四・769  大伴家持
大意・ 貴女にお会いする日もなく、雨の降る山辺に一人ただずんでいると、心も沈んで憂鬱なことです。

解説・ 741年、いよいよ天皇の恭仁の都での親政が始