素浪人の『万葉集漫談』(141)…迷いの森から逃れて、開いた絢爛たる花園。

(141)今のごと 恋しく君が 思ほえば 
       いかにかもせむ するすべのなさ
       巻十七・3928 大伴坂上郎女
大意・ 今からこのように恋しいようでは、貴方が旅立たれた後、私はどうしましょう。切なさが一途に募るばかり…。

解説・ 疫病がはやり、山火事、地震が頻発し、天変地異の世情を憂うあまり、行幸と遷都を繰り返された聖武天皇の奇行とも思える放浪は、745年に平城京への遷都で落ち着き、兵器等も運び込まれます。
大伴家持も行幸や遷都に天皇のお伴で、さすらいの旅を続けたのですが 天平18(746)年3月に宮内少輔に、7月には越中守(富