今を生きるに必要な歴史とは

堀米庸三著『ヨーロッパ歴史紀行』筑摩叢書。
 1913年生まれの58歳になる堀米先生は、「ヨーロッパ人の空間意識をさぐる」というテーマを主目的に、今から39年前の1971の夏、2ヶ月間17ヶ国を巡る旅に出られた。
 はしがきに、「5年ぶりのヨーロッパ行きというのに、ひどく重苦しい気持ちだった。数日前にひいた風邪がなおらず、熱もあった」とはあるものの、すでに肺の疾患を抱えていたことに先生ご自身も、そして「何で周囲のわたしどもも気づいてやらなかったのか悔いは残る」、と門下の堀越孝一先生が巻末に追悼されている。享年62歳。
 歴史の定義を、「現在に生きている過