嗚呼、哀悼。いたわしき大田皇女!…素浪人の『万葉集漫談』(番外編)

・ ももづたふ 磐余(イワレ)の池に 鳴く鴨を
   今日のみ見てや 雲隠りなむ  巻三・416 大津皇子

大意・ ああ、こうして磐余の池に、元気に泳ぐ鴨の姿を見るのも今日が最後か。明日は死んでいかねばならぬ。

解説・ 686年の翌10月3日に処刑された大津皇子。
そしてその姉、大伯皇女の弟への悲歌を、この『万葉集』漫談シリーズで書いたのは、随分古い記憶となりました。

今、「その墓かもしれぬ」と新聞・TVで騒がれている大田皇女は他でもなくこの皇女、皇子の二人の母親なのです。
661年、百済救援をと九州へ向かう斉明天皇(女帝・大田皇女の祖母)に同行途