氷のかけら

ストーブの前に、しゃがみこんで、
たばこばかり吸っている。

病魔と闘う家内のために、
してやれることのあまりに少ないことを考える。

考えて、どうかなることでないのは、
わかっているが、
結局、またストーブの前で、
しゃがみ込む。


代替治療の漢方薬も飲めず、
大好きなケーキも食べられなくなったので、
もう、持って行くものがない。

いたしかたないので、
時々、氷を口に頬張り、
ガリガリやっていたのを思い出し、
プラスティックの容器に入れて、
氷を持って行った。

小さな氷片を口に入れると、
元気な時と同じように、
「ガリガリ」とやった後、
「おいし