ひとかけらの氷を口の含むことと、
ストローの中の冷茶をわずかにしか、
飲めなくなった。
もう、いっしょに食事することもかなわないだろうに、
家内の生まれ故郷、新潟のフロム日本海に、
はたはたと柳カレイ、もずくを注文した。
明日には、届く予定だが、
なんとかまにあわしたい。
息子が電話してきた。
「どうだった?」
と言う。
何の話か、見当がつかない。
「何が?」
と言うと、
「親父、今日、検査の日だろ」
と言う。
それで思い出した。
今日の午前中は、私の癌検査をしたんだ。
「あぁ!大丈夫、転移はない」
母のこととともに、
私のことも気づか