遺影

結婚以来、
四十数年の暮らしは、家内の死によって終わった。



これらからは、一人暮らしがずっと続く。

先 々を考えると、
一種の恐怖が押し寄せてくるが、
この寂しさと闘い、乗り越えるしかない。



 ともに暮らした四十数年、
家内の写真をかなり撮ったが、

自身で満足できるのは、たったの二枚だ。

二枚の内、今夏、病状が少し安定していた時期のものを

遺影にした。



何を思ったか、18歳の孫が、

誕生日でも、何かの記念日でもないのに、

突然贈ってきた花束の前で撮ったものだ。



うれしそうな家内の、こぼれるよ