過日、「百万本のバラ」をご紹介しました。
あれは外国作品を加藤登紀子さんが訳詩したものです。
今日は日本のそれも一寸古いですが、
明治時代の名歌をご紹介します。
実は以前、私の外部ブログで紹介したものですが、
元旦のひと時、本棚の中から再び手にしました。
私自身、学生の頃、よく口ずさんでいました。
島崎藤村 「若菜集」より、「初恋」の一節です。
まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて 林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に 人こひ初めしはじめなり
わがこゝろなきためいきの その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を 君が情に酌みしかな
林檎畑の樹の下に おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと 問ひたまうこそこひしけれ
声に出して読んでみてください。
七五調の、なんとも言えない響きです。
現代の文章が忘れている、日本語の美しい調べです。
たまにはこういう名歌を、口ずさんでみてはいかがでしょう。
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