素浪人の『万葉集漫談』(150話)…聖武太上天皇の崩御。

(150) 移りゆく 時みるごとに 心痛く
       昔の人し 思ほゆるかも
          巻二十・4483 大伴家持 
大意・移りゆく時の変化を思う時、胸抉られるように苦しく、昔の人々が思われてなりません。

解説・757年6月の歌です。この年2月には前年の756年に左大臣職を追われた橘諸兄が亡くなり、その756年の5月には聖武太上天皇も相次いで崩御されます。
家持を支えてくれていた大黒柱を次々と失って、絶望の淵に立たされた悲哀がひっそりと詠われているのです。

(150’) いざ子ども 狂業(タワワザ)なせそ 天地(アメツチ)の