アルプスの画家 セガンティーニ(伊) 呑兵衛爺の暮れ暮れ草(19)

イタリアの画家ジョバンニ・セガンティーニ(Giovanni Segantini)は美術史上、誰もが周知の絵描きであるとは言い難い。彼の作品に最初に出会ったのは20代の大学生の頃であった。アルプスの牧場に女性が描かれている油絵で、絵の具が盛り上がって、粗々しく塗りたくっているようなタッチで鮮明な印象を受けたのを憶えている。大学を出て社会人となってからはセガンティーニとは全く無縁の状態が長い間継続してほとんど思い出すことは無かったが、50歳代に「丸善」書店の中でぶらぶら書棚を見て回っている時、美術書のコーナーで平積みされた美術年鑑や美術全集をパラパラめくって