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よくあるご質問

アルプスの画家 セガンティーニ(伊) 呑兵衛爺の暮れ暮れ草(19)

イタリアの画家ジョバンニ・セガンティーニ(Giovanni Segantini)は美術史上、誰もが周知の絵描きであるとは言い難い。彼の作品に最初に出会ったのは20代の大学生の頃であった。アルプスの牧場に女性が描かれている油絵で、絵の具が盛り上がって、粗々しく塗りたくっているようなタッチで鮮明な印象を受けたのを憶えている。大学を出て社会人となってからはセガンティーニとは全く無縁の状態が長い間継続してほとんど思い出すことは無かったが、50歳代に「丸善」書店の中でぶらぶら書棚を見て回っている時、美術書のコーナーで平積みされた美術年鑑や美術全集をパラパラめくっているうちに偶然ふと思い出して彼の作品を探してみたが、全く見つからず単行本や分冊の美術書の書棚でもセガンティーニの油絵は見つけることが出来なかった。その後しばらくは脳裏から消えかかっていたのであるが、その望みが再び叶うのはインターネットのおかげである。個人用のパソコンを購入は2002年で、インターネットに接続契約したのは2005年のことである。画像検索でセガンティーニの作品の大部分は閲覧可能になっていたからである。その後、ネット画像だけでは物足りなくなり、紀伊国屋書店経由でドイツ語版の彼の画集とスケッチ集を購入した。更に画集だけでは無く、実物画像をスイス・サンモリッツにあるセガンティーニ美術館へ観に行きたいと思うまでになった。残念ながら、財政の面で不如意なため、今だ、遠い先の夢になっている。彼の原画は日本の大原美術館で観賞できる。しかしこれもまだクリアーしていない現状である。
日本で彼はさほど人気が無いかと言うとそうでもない。スイス旅行などをホームページに載せている人の中に、憧れのセガンティーニ美術館詣でを報告している人が数年前のことであるが数名発見した。HPに載せていない人も当然おられるし、私のようにセガンティーニ美術館詣を実現していない人も日本国内には多数見えるかもしれない。昨年。当趣味人倶楽部会員の中にセガンティーニ美術館のブログを掲載されている人も見つけた。生憎ハンドルネームは現在失念してしまったが、二回も訪問をされていて羨ましいかぎりである。
セガンティーニはイタリアで生まれ育ち、後年スイスの山岳地方に居を構え、アルプスの画家と言われる所以である。
サンモリッツにあるセガンティーニ美術館のドーム型屋根のところにあるアルプス3部作『生成(生 )La Vita 』『存在(自然)La Natura』未完成の『消滅(死)』La Morte』は必見といわれる。
彼の画法は若い時の画法と晩年のテーマは辿神秘的・宗教的に変革を遂げていくが、私の好みはアルプスの牧場に働く人や羊や牛を描いている彼の青年期の絵画である。真昼の強烈な日差しを浴びて、アルプスの空は色濃い藍色で描かれている。澄み切っているのだが群青の蒼穹である。感動を与える作品には、その中に人と自然が融和結合する部分があるのではないかと考えている。芸術作品の受け止め方は人様々であって、私は次の三点が気に入っている。「編み物をする娘」、二種類の「アルプスの真昼」があり1891年と1892年の制作で私は後者の方がより好きである。セガンティーニは自己の作品について次のように
「春の晴れわたった日々に、光満ち溢れる高いアルプスの草原で、私のように何ヶ月も暮らし、谷から湧き上がってくる声に耳を傾け、遠くの物音のかすかなぼんやりしたハーモニーが風に乗ってやって来て、私たちの周りで調和のとれた沈黙をかたちづくり、それが岩山や氷山に囲まれた無限の青い空間へ広がっていくのを聞き取ることができる者だけが、ここの自然の深い芸術的意味を感じ、理解することができるのです」 と述懐している。

照る氷河懸けアルプスの天高し  小原菁々子

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