素浪人の『万葉集漫談』(151話)…すべての花がしぼみ、人の運命もままならぬときがあるもの。

(151) 八千種(やちくさ)の 花は移ろふ 常盤(ときわ)なる
      松のさ枝を われは結ばな
          巻二十・4501   大伴家持
大意・ さまざまな美しい花は衰えていきます。常緑の松の枝に私は祈りを込めて、それを結びたいと思います。

(151’) 高円の 野の上の宮は 荒れにけり
      立たしし君の 御代遠退(とほぞ)けば
          巻二十・4506  大伴家持
大意・高円の野のほとりの離宮も荒れてしまったことだ。亡くなられたわが君の(聖武天皇)の御代もとおざかったので。

解説・ いずれも、758年式部大輔中