素浪人の『万葉集漫談』(152話)…万葉集の最後の歌。そして、家持のその後。

(152) 新しき 年の始めの 初春の
      今日降る雪の いや重け吉事
読み アラタシキ トシノハジメノ ハツハルノ
      ケフフルユキノ イヤシケヨゴト
           巻二十・4516  大伴家持
大意 新しい年のはじめの、新春の今日を降りしきる雪のように、さらに一そう重なれ、吉き事よ。  

解説 759年(天平宝字3)正月一日、因幡の国庁に集まった国郡司を前に披露された大伴家持の歌です。『万葉集』の最後の歌であり家持が残した最後の歌でもあります。
雪深い因幡の国守として都を追われた、最初の年の正月を家持はどんな心境で迎えたので