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よくあるご質問

身体に潜む回復力

「おせんべいを拳で叩くとコナゴナに砕けますよね。あなたの手首の骨折はちょうどそのような状態です。私も正直なところどの程度治癒できるか分かりませんので、取り敢えず(コナゴナになった骨を)寄せ集めておきました。後は運を天に任せるだけです。」 3年半ほど前、交通事故で、撓骨と尺骨が右手首の外に突き出し、手首を粉砕骨折する事故に遭い、手術を受けた時の医師の言葉でした。

 1ヶ月ほど入院したのですが、その間全身麻酔2度を含む4度の手術を受けて退院しました。退院が迫ったころから機能を取り戻すためのリハビリを開始しました。

 最初のうちは左手しか使えない生活でしたが、熱心にリハビリに通院し、1年ほどして手首が良く回らないところだけは左手で代用しなければなりませんでしたが、安全カミソリを右手で使用できるほどになりました。リハビリの先生も奇跡に近い回復振りと褒めてくれたほどです。しかしこれ以上の回復は無理ということでリハビリの通院を止めた経緯があります。

 岩石のように固い手首に微妙な回転は無理でした。例えば石油ストーブの給油を終えたとき、手首の微妙な確度のずれで満タンにしたタンクの蓋栓をしたり、回転して締めことができないので、そのときは左手で行っていました。

 リハビリを止めてからも暇さえあれば固い右手首のマッサージを行い、屈伸をするのを癖にしていました。手首に柔軟さを取り戻すのにピアノを弾くことはどうだろうか、と思いついたのは一昨年のことです。ピアノは手首を固定して指先を使いますから、手首への負荷を強います。それがリハビリに役立つのでは?と思ったのです。

 ピアノ教則本を買い求め、ゼロから独学で習い始めたのが一昨年の4月。習い始めの当初、手首が痛くて少しの時間しか弾けませんでした。それだけリハビリに利いているということでしょう。練習する時間が少ないですから当然のことながら上達しません。以来何度止めようと思ったことでしょう。しかし、止めるとそれですべては終わりです。ピアノに向かう回数は少なくても兎に角あきらめないと、自分に言い聞かせて続けてきました。

 昨日のことです。いつも左手でしていた灯油タンクの蓋を何気なく無事にこなしている自分の右手首に気づきました。信じられない驚きでした。そういえば、岩のように堅かった手首は以前に比べ少し柔らかさを取り戻しているようでもあります。

 体験された方はよくご存知と思いますが、不自由になった身体の機能を取り戻すためにするリハビリは根気の要る大変つらい作業です。あきらめずに続けていたことがある程度期待に応えてくれたのでしょう。人間の身体に備わっている回復力を知ったことは大きな喜びでした。

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