素浪人の『万葉集』漫談(158話)…満目、今朝は見渡す限りの、雪です!

(158) 筑波嶺に 雪かも降らる いなをかも
     愛しき子ろが 布(にの)乾さるかも
       巻14・3351 常陸(ひたち・茨城県)国の東歌
大意・ おや、筑波のお山に雪が降ったのかな?いやいや、私の愛しいあの娘が、真っ白の布をひろげ乾したのかな?

解説・ 今朝は私の住む埼玉県も、雪です。今季初めて味わう銀世界です。朝、雨戸を繰って思わず開けた真っ白の世界を前に、ふと浮かんだのが『万葉集』のこの歌でした。
多分、筑波山の麓に住むこの地方の人々の間で歌い継がれてきた民謡なのでしょう。思わず、にんまりとする、心の温まる歌です。布も「にの」と