素浪人の『万葉集漫談』(161話)…青春の微笑ましい一こま。

(161) 信濃なる 千曲の川の さざれ石(し)も
         君し踏みてば 玉と拾はむ
                巻14・3400 東歌
解説・ 「愛しいあなたが踏んだ千曲川のさざれ石なら、大切な玉と思って持ち帰りましょう」という意味の微笑ましい、大変ポピュラーな東国農民のあいだで謡われていた歌です。
大切な人が触れたもの、愛用したものを、忘れ難きものとして大事にする思いは現代の誰にもありますね。亡くなられたお子様の鞄や絵は、もうその親御さんにとっては、ただの鞄ではありません。ただの書き散らしではなくなるのです。

先日、友人の案内で、深雪