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よくあるご質問

「誰も知らなかった”江”」読後感

「誰も知らなかった”江(ごう)”」宮本 義巳 著 マイコミ新書 
ドラマじゃ観られない江の素顔がここに!!

まず最初に著者についての紹介をしたい。
著者宮本氏は中世史に詳しく、時々テレビにもちょこっと顔を見せたりしている。
現在放映中のNHKドラマ”お江”の時代考証総指揮は小和田哲男氏が執っているが、NHKの大河ドラマ作りには意見を求められるなど関わりを持って来ている。
文献による考証を厳密に徹底させると、ドラマ作りには必ずしも適合するものでもなく、専らNHKの視聴者を意識する意向に迎合する形での脚本家が考える筋書きによって、ドラマは展開されることになる。
小説家は文献に書かれていないことでも自由に推理を展開し、耳目を惹きつけるが、著者もその発想には感心はしても賛同はできないジレンマに身を置かされている。

私が著者について、やや詳しく知り得ているのは、小学校校長を定年退職されて、歴史学習会を10年以上主宰されていた方が、老境となり病を得られて閉会となるところ、会員の継続希望により、市の生涯学習課の斡旋で著者を先生として招くことになり、それ以後10数年継続して、毎月2回先生のご講話を拝聴していることによる。

学習の題材としては、深く歴史を研究するということではなく、気楽に取り組み易い大河ドラマを選んでいる。
ドラマの筋を追いながら、文献との違いを学び、歴史の面白さを知ることになる。

この学習会の会員の圧倒的多数を占める女性の方々は、どちらかと言えば、歴史そのものよりも、俳優の演技などに興味を持つ人が多いが、それは各自の自由ということで、つっ込んだりする人も居ない。之が会が長続きしている理由かも知れない。
それでも先生は、学生より我々の方が余程熱心に話を聴くということで、2時間立ちっ放しで講話に熱が入る。
途中10分間の休憩をお願いして、我々が一息入れさせてもらっているが、その間にも先生は座ることはせず、質問などに答えられている。

さて、前置きが長くなったが、読後感は:−

以上でおおよその見当はつくと思うが、この本は学究的な論文であり、物語として読むには不向きな本である。
この本を書くに当って資料としている「渓心院文(けいしんいんのふみ)」は、写本しか残っておらず、写本ではお江の母親お市について、信長の「いとこ」と書いており、他の資料による「妹」と食い違っていることから、資料としての価値無しとして、従来顧みられることなく、学問的に用いられてこなかった。
古文書の解読に熟達されている先生は、今一度渓心院文を読み直し、「いとこ」と「いもと」は字体が似ていて紛らわしく、読み違いや写し違いの可能性もあるとして、全文を検証し、この部分を読み替えれば、渓心院が大奥の大年寄りとして幕政の一部に関わっていたればこそ知り得る事情が書かれており、その前後の記事が総て支障なく筋道が立ち、またお市が美しい人であったことを具体的に書いており(江の姉の淀殿が画かせたといわれるお市の肖像画が残されている)、渓心院文は極めて資料価値の高いことを発見された。

この発見に基づき、今までに描かれて来た「お江」との違いを逐一追って解説したのが本書である。

論文として発表すると、一般に知れ渡る前に、剽窃して恰も自説の如く発表する輩が多数居り、(特に学生論文はあちこちの論文を切り貼りして研究論文とするものが多いとか)
出版社の担当者の協力もあり、新書版としての出版となったものである。

新説が紹介されているので、興味のある向きには絶好の書であるが、冒頭にも記した通り、学究的な書き方であるので、一寸読みづらいかも知れない。

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