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よくあるご質問

素浪人『万葉集漫談』(171話) …国のために働く人たち、それを身近に見守る家族の思い。

(171) 君が行く 海辺の宿に 霧立たば
     我が立ち嘆く 息と知りませ
       巻15・ 3580  遣新羅使人の妻の歌
解説・ 貴方がおいでになる海辺の宿に、霧が立ちこめたらそれは貴方を恋い慕い、貴方を想って嘆く私のため息と、お思い下さい。
 …遣新羅使人の夫との別れを悲しむ妻の、耐えがたい思慕の念が詠まれました。736年6月難波を出発した遣新羅船は、夜になると途中の港の海辺に碇泊します。
 まだ電灯のない当時の航海のことです。舟の大きさも設備も貧弱で、航海技術もプアーな、危険を伴う大変怖い船旅。日本海の荒海を超えるのです。万葉時代、それはとても怖ろしいことでした。

(171’) 秋さらば 相見むものを 何しかも
     霧に立つべく 嘆きしまさむ
       巻15・ 3581 その夫の歌
解説・ 秋になれば無事に帰って逢えるのではないか。君が
霧になって立ちこめるまで嘆くほど、心配することはあるまい。 
 …途方に暮れる妻を、慰める夫の歌ですね。
何しかも→どうしてまぁ。
 遣新羅使船は、山口県の周防灘で遭難し、豊前の中津に着きます。そこで船を整え博多へ向かうのですが、ここでもう七夕を過ぎてしまうのです。玄界灘が大荒れしたり再三の挫折があって帰国する筈の秋にはまだ、壱岐・対馬辺りをうろうろとしていました。
『万葉集』巻15の前半はこの遣新羅使の歌が145首もあるのです。思わしくない船旅のため、多くは切ない望郷の歌となっています。 

 国家命令で、国のため、人道のために働く人たちにはいつの時代でも、大変な危険やご苦労が伴います。
 現在のニュージランド地震救援の日本派遣隊の方々も、本当に大変な使命を帯び、危険な状況下で働いて居られるわけで、被災者の皆様共々に、ご無事な帰還を祈りたいと思います。

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