素浪人の『万葉集漫談』(173話)…さぁ、古代の海の旅。電灯もない船、地図もない旅。

(173)  大伴の 御津に船乗り 漕ぎ出ては
          いづれの島に  いほりせむ我
              巻15・3593 遣新羅使の歌

解説・ 大阪港に乗船し、いよいよ船出をしたら瀬戸内海のどのような島々に、碇泊し仮宿を取らねばならぬのだろうか、一体、この私は…。という不安な気持ちが詠われました。
・大伴の御津→難波(大阪)の港→豪族・大伴家がこの一帯の土地を広く所有していた。
・廬(イホ)りす→旅寝をする。

今なら、風光明媚な瀬戸内の海は胸ををワクワクさせて豪華汽船で旅をするのですが、当時は、電灯もない貧弱な船、しかも正確な地