素浪人の『万葉集漫談』(181話)…いつの時代も「イジメ」が横行するのか。

(181) 遠き山 関も越え来ぬ 今さらに
         逢ふべきよしの なきが寂しき
       巻15・3734 中臣宅守(ナカトミノヤカモリ) 

解説・ 遠く山々を越え、関所を越えて(越前の流刑地に)来てしまった。今となってはもう、貴女と逢う何の手立てもなく寂しいことだ!…という嘆きの歌です。
 ・関→関所、ここでは愛発(アラチ)の関。
当時厳しい税の取り立てなどで逃亡するする農民や、盗賊を取り締まったり、国家の緊急事態に備えて、近江と越前との国境に設けられていました。伊勢の鈴鹿の関、美濃の不破の関とともに、最重要視された三関所の一つです。