素浪人の『万葉集漫談』(184話) …献身的に働く人々への感謝を!

(184) 我(ワ)ろ旅は 旅と思(オメ)ほど 家にして
         子持ち痩すらむ 我が妻(ミ)愛しも
     巻20・4343 玉作部広目(タマツクリベノヒロメ)

解説・ 僕の旅は(朝廷の命で)致し方のない辛い旅だと思うけど、故郷に遺された家で子を抱え労働を強いられて、痩せ窶れているであろう妻が愛おしく、可愛そうでならない。…という防人(駿河、今の静岡県)の歌です。
 ・我ろ→我、思ほど→思へど、妻(ミ)→妻、と何れも東国訛。

防人として徴用された兵士の故郷に残された妻を思う真情の溢れた歌です。男が防人に動員されても家への免税措置はなく、