素浪人の『万葉集漫談』(186話)…明日が見えない不安の旅。

(186) 百隈(モモクマ)の 道は来にしを またさらに
      八十島(ヤソシマ)過ぎて 別れか行かむ
   巻20・4349 助丁刑部直三野(オサカベノアタヒミノ)

解説・ 幾まがりもの道を廻ってはるばると(陸路)、ここまでたどり着いたのだが、この上さらに島また島と無数の島を漕ぎ過ぎて(海路を故郷遠く)、別れていかねばならぬだろうか。
 …苦労して難波(大阪)に着いて今から、行き先の長い筑紫へと海の旅路への不安を募らせる防人の歌です。
 ・助丁(ジョチョウ) → 防人の階級序列の一つ。上総国(千葉県)から徴用された防人です。


古代人の苦渋と